京都大好きトーク!門川市長とゲストの“きょうかん対談”

第十四回「知恵」 京の伝統産業を発信する「知恵」
細見吉郎京都市副市長 × 村山裕三さん (同志社大教授) × 頭川展子さん (京都おもてなし大使)
細見吉郎京都市副市長・村山裕三さん、頭川展子さん 対談写真
細見吉郎京都市副市長・村山裕三さん、頭川展子さん 対談写真
細見吉郎京都市副市長・村山裕三さん、頭川展子さん 対談写真
細見吉郎京都市副市長・村山裕三さん、頭川展子さん 対談写真
細見吉郎京都市副市長・村山裕三さん、頭川展子さん 対談写真

<プロフィール>
村山裕三/1975年同志社大経済学部卒。82年ワシントン大よりPh.D.(経済学)取得。野村総合研究所研究員、大阪外国語大教授などを経て、現在、同志社大大学院ビジネス研究科教授。京都商工会議所「知恵ビジネス支援チーム・戦略会議」医院、JR西日本取締役(社外)なども務める。
頭川展子/2006年池坊短大卒。在学中の06年に京都きものの女王、全日本きものの女王に選ばれる。08年第40回ミス日本関西地区代表。現在は京都市任命「京都おもてなし大使」のひとりとして、京都ならではのおもてなしを実践、日々の活動を通して京都の魅力を精力的に発信している。また、野菜料理の研究や、美容研究家としても活躍中。
細見吉郎/1959年同志社大経済学部卒。宝酒造株式会社入社後、「純」・「缶チューハイ」の開発など、数々のプロジェクトを手がける。宝ホールディングス株式会社代表取締役会長。京都経済同友会副代表。NPO芝生スクール京都理事長。2008年より京都市副市長。

海外にも高く評価される、京の職人技

村山裕三さん細見副市長 「京都おもてなし大使」で、かつて「きものの女王」にも選ばれた頭川さんですが、今日のお着物姿も素敵ですね。頭川さんに合わせて私も着物で参りました。そして、村山先生は現在、京都の伝統産業の革新と世界発信を目指す「伝統産業グローバル革新塾」の塾長を務めておられます。今日はお二人に京都の伝統産業・文化について伺います。
頭川さん 私は「きものの女王」になってから、着物を通じて国内外の方と交流させていただき、日本の伝統文化・産業はすごいなとつくづく思うようになりました。いくつもの工程や代々受け継がれてきた技術、職人さんの熱い想いがあるからこそ美しい着物があり、女性を引き立てているのだなと感じます。
村山さん 私も、近年パリで京都の伝統産業の価値を再認識しています。京都・パリ姉妹都市50周年(2008年)の時、京都の伝統産業についてパリで講演したのですが、西陣織のバッグや友禅のクッションなどを紹介する際、「歴史の連なり」という話をしました。「この新しい現代的な製品も、もともと伝統ある素晴らしい生地があって生まれ、そこには百年以上の歴史が連なっている。これが、長年続く美意識の歴史に裏打ちされた京都の"本物"の世界です」と。パリの人々はよく理解し、非常に良い感触を得ました。
細見 私もたまたまその場に居合わせたのですが会場は満員。活発に質問も出て、日本の伝統産業・文化に対する関心の高さに驚きましたね。同時に、京都の伝統産業は、こうした外国の反響をどう受け止めていくかが課題だと感じました。

京都・伝統産業の潜在力と可能性

頭川展子さん村山 京都の伝統産業は本当に魅力的ですが、当の職人さんは自分たちの仕事の価値に気付いていない。そこで私の「伝統産業グローバル革新塾」では職人さんを連れてパリで展示会を開いています。会場では、来場者から展示用の帯を「どうしても欲しい。ぜひ売ってくれ」と言われて困ることも。でも来場者と直接話すことで自分たちの作品にどれだけ魅力があるか実感でき、モチベーションにつながります。
細見 私は門川大作市長の要請を受けて民間から行政に入ったのですが、産業・観光政策を担当して改めて京都の伝統産業の革新的な取り組みに驚きました。京都市でも、もっと「見える」化をと、昨年度には多様な産業支援機関を、250社もの企業が入居している京都リサーチパークに集結、機能強化を図りました。伝統産業から先端産業に至るまで、産学公の連携のもと研究開発や技術支援、人材育成、、情報支援、経営支援を行っています。
頭川 初めてこちらの産業技術研究所に伺いましたが、エレベーターのドアが漆塗蒔絵(うるしぬりまきえ)なのにはびっくりしました。素敵ですね。
細見吉郎京都市副市長細見 ありがとうございます。高度な技術ですが、まさに「伝統と先端技術の融合」のたまもので、高級ホテルにも採用される予定です。こういった「知恵産業」のさらなる発展を目標に、この研究所内に「知恵産業融合センター」も立ち上げました。早くも成果が上がり、例えば楽焼の赤い釉薬(うわぐすり)が先端技術で50年ぶりに再生、楽焼の9社に技術移転しています。さらに、市民の皆さまに体験してもらう場もあります。
村山 伝統産業は、やはり「体験」が大事ですね。京都の伝統産品は魅力的な素材ですが、まだ敷居が高い。若い人が気軽に触れられるような場ができるといいですね。
頭川 私も着物を着る機会を重ねて、本当の良さが分かるようになりました。この良さは実際に着て初めて分かること。京都市では最近、東京ガールズコレクションでPRしたり、東京・青山に着物のアンテナショップ「白イ烏(しろいからす)」を開設したりと積極的に取り組まれていますね。私たち若い世代にも着物が身近に感じられる機会になると関心を寄せています。
細見 うれしいですね。「白イ烏」で注目したいのは、東京のユーザーの声を取り入れて製品化したものが売れ行きがいいことです。
頭川 高級呉服の伝統がある着物業界にとって厳しい時代だと思いますが、京都市がされているような "種まき"によって「いつか上等なものを着たい」という人も出てくる。私も「京都おもてなし大使」などの活動を通じて、京都の伝統産業の魅力を伝えられるよう頑張りたいです。
細見 5年前、北イタリアに行きましたら、靴、鞄、スカーフ、家具など伝統のものづくりをする従業員5〜6人の小さな会社が30万以上あってとても元気。匠の技と歴史・文化を生かして商品の価値を上げ、値段は高くても付加価値で受け入れられていると聞きました。同様に、いやそれ以上に職人の心、匠の技、歴史・文化があり、デザイン力もあるのが京都。京都も伝統の技と感性の融合で未来が拓(ひら)けると確信しています。

京のビジネスの未来を拓く、文化と知恵

細見 最後に、お二人にとって「京都」とは?
村山 西陣の古い伝統のまちに育ち、京都を好きと思ったことは正直あまりなかったんですが(笑)。でも海外を含め10年京都から離れて帰ってくると、こんなに価値のある都市は世界にないと改めて気付きました。実際に今、日本再生の知恵は京都にあると、私のところにも全国から話を聞きにくる方が非常に多い。短期的ではなく10〜20年後を見据え、京都の知恵からビジネスを見直したいと。世界に誇る素晴らしい文化を守り、生かして「本物」を作るというマネジメント理念に、感動する経営者が世界にたくさんいます。また、京都の伝統産業に関わる方々が皆「京都のため」という志を持っている。こんな都市はほかにないですね。
頭川 私は東京や海外に行って戻り、京都の空気に触れた途端、心が深く安らぎます。これは京都人だけでなく、日本人、更には世界中の人が共感する京都ならではの感覚ではないかと思います。伝統産業や文化の魅力に古きよき町並みが調和し、伝統を守りながら進化し続ける京都の価値を、私たちの世代も大切にしていきたいですね。
細見 本日はお二人から貴重なお話を伺い、京都の伝統産業の可能性を改めて感じました。京都の発展・魅力発信の旗振り役として、これからもお二人の御活躍を期待しています。本日はありがとうございました。



第14回対談を印刷する
Adobe Readerインストール

京都新聞COM 〒604-8567京都市中京区烏丸通夷川上ル