京都大好きトーク!門川市長とゲストの“きょうかん対談”

第十六回「環境共生」 一緒に考えよう 未来の京都のまちづくり
自然を大切に、日々の生活・食習慣を問い直す取り組みを京都から
門川大作京都市長 × さかなクン (東京海洋大学客員准教授・イラストレーター)
門川京都市長・さかなクン 対談写真
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門川京都市長・さかなクン 対談写真
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<プロフィール>
さかなクン/東京生まれ、千葉県館山市在住。魚に関する豊富な知識と経験をもとに、魚食の素晴らしさや環境保全への理解を伝えるための活動を全国で展開。日本ユネスコ国内委員会初代広報大使、環境省「チャレンジ25キャンペーン著名人応援団」メンバー、農林水産省「お魚大使」、JF全国漁業協同組合連合会・魚食普及委員などを歴任。

イチバンの市場!85周年

さかなクン門川市長 今日はお魚博士のさかなクンに、京都市中央卸売市場第一市場にお越しいただきました。ここは1927(昭和2)年に開設。東京の築地市場よりも古く、全国初の中央卸売市場です。
さかなクン 素晴らしいですね。「いちばん」(最初)の市場!
門川 いいですね、「日本でいちばんの市場」。今度そのフレーズ、使わせていただきます(笑)。おおきに。ところで、さかなクンは京都にはよく来られるのですか。
さかなクン はい。最初に来たのは中学の修学旅行で、「歴史があって、自然が豊かで、なんと上品なまちなんだ」と思いました。その後、魚類学を真剣に学ぼうとしていた時に、僕の魚の師匠に「著名な魚類学者の魚博士・中坊徹次先生が、京都大学にいらっしゃいますよ」と紹介していただき、再びやってきました。20年程前のことです。
門川 修学旅行で歴史と伝統のまち京都を、そして魚を専門的に学ぶときに、知が蓄積するまち京都を感じられたのですね。
さかなクン 中坊先生は、「君のすごいところは食べて魚を当てるところだ。食べて研究するのはとても大事だよ」と励ましてくださいました。
門川 なるほど、食の重要性ですね。京都には優れた食文化があります。国内外から年間5千万人もの方を京都にお迎えしますが,その8割以上が京都観光に感動したとおっしゃっている。中でも食文化が素晴らしいという声が多いんです。京料理に代表される和食をユネスコ無形文化遺産に、との取り組みも進んでいます。
さかなクン 世界遺産に! 日本の若い人たちの味覚が欧米化しているといわれますし、ぜひ進めていただきたいですね。
門川 京都市では、食の魅力をさらに広げていくため、この中央市場の応援団として「食の海援隊・陸援隊」を立ち上げているほか、料理のプロの方々が小学校へ出向く「出前板さん教室」に取り組んでいます。また、老舗料亭の主人などで構成される日本料理アカデミーと連携した「食育カリキュラム」事業を通じて、子どもたちへの食育にも力を注いでいます。昆布やカツオのだしを味わったり、だしの引き方なども体験するんですよ。
さかなクン 日本の食の基本ですね。昆布とカツオから取るだしは、いっさい脂が浮かない、世界のだしの中でもまれな存在。カツオには健康増進効果のある栄養素も豊富にあります。
門川 近頃若い人は魚を食べなくなっていますが、もったいない! そこで、この中央市場内に市場の新鮮な魚を使ったおすしが手軽に味わえる「すし市場」を作っています。8月5日にオープンします。
さかなクン 市場が85周年で、8月5日ですか!
門川 たまたまですが(笑)。京都の100以上のおすし屋さんと協力して始めます。年末には、京野菜を含めた京の食文化の発信拠点も開設します。それから、今年3月には近くの梅小路公園に京都水族館もオープンしました。
さかなクン 京都水族館は大変な人気ですね。先日どうしても見たくて並んだのですが、チケット売り場にたどりつくのに2時間かかると言われて…。
門川 入場者数は、まもなく100万人を迎えます。
さかなクン すギョいですね!
門川 山に降った一粒の雨が、谷川になり、鴨川・淀川になり、そして海へ―。「水と共につながる、いのち。」をコンセプトに、水の流れと水が生み出す命の大切さを伝える京都ならではの水族館です。京都大学の野生動物研究センターと学術協定も結んでおられます。
さかなクン 素晴らしい。見て、かわいい!だけでなく、水とその水に生かされる命があって、さらにそれを私たちがいただけるということを伝えているんですね。

“環境負荷”の少ないまちづくり

門川大作京都市長さかなクン 今、京都はまさにハモの季節ですね。
門川 ええ。祇園祭は「鱧(ハモ)祭」とも呼ばれているほどです。
さかなクン 京都のハモは本当に素晴らしい。初めて京都でハモ料理をいただいたとき、「うぉっ、なんと甘味の強いこと。ご当地ではこんなに豊かな味わいなのか。まさに、魚偏に『豊』と書く字の通りだ」と感動しました。
門川 さすが。いい舌ですね。ところで京都にはウナギのお茶漬けがあるのを、ご存知ですか。
さかなクン なんと、お茶漬けですか。おいしそう。しかし今年はウナギが獲れなくて、価格が高騰していますね。ウナギは、日本から2千キロ以上も離れたマリアナ諸島の深海で卵を産み、海流にうまく乗れないと死んでしまうそうです。今後、海流や水温が変わると、全く獲れなくなるのではと懸念されています。
門川 魚が一番環境の変化に敏感なのですね。
さかなクン 魚は、水温が1度違うだけで、人間にとって10度違うくらいの大きな影響を受けます。漁場も変化し、全く獲れなくなったり、獲れる場所が移動したり。その理由を考えるのは、魚からのメッセージを受け取ることかもしれません。
門川 環境問題は今、世界中で真剣に考えるべき課題ですね。京都は地球温暖化防止京都会議(COP3)が開かれ、「京都議定書」が誕生した地です。環境モデル都市、持続可能な社会の都市モデルであるべく、さまざまな取り組みを行っているのですが、中でも京都市役所では7月2日から率先して節電に取り組んでいます。
さかなクン みんなで力を合わせたいですね。
門川 京都市では、平成22年度比で10%以上の節電目標を掲げています。特に今年は「家族でお出かけ節電キャンぺーン」と銘打ち、美術館(クールスポット)などの無料開放や料金値引きを行って、ご家族でお出かけいただけるよう広く呼び掛けています。我慢や節制という節電のイメージを一新して、新しい省エネ型のライフスタイルを提案しているんですよ。また、8月には家族でお出かけできる「京の七夕」も行います。
さかなクン 夕涼みですか、いいですね。
門川 自然と調和した心豊かな暮らし、新たな夏の過ごし方を発信する、そんな京都ならではの取り組みをこれからも進めてまいります。

外に出て五感で自然を感じる

門川 さかなクンは、温暖化防止のための国民運動「チャレンジ25キャンペーン著名人応援団」などさまざまな委員を務めておられますが、これまでどんな活動を?
さかなクン 僕は小さいとき、まずタコが好きになって魚屋さんに通い、さらに市場や水族館に行くうちに、魚が本来暮らすところが見たくなり、海に通うようになったんです。そこで磯の香りや波の音の心地よさを感じ、「カニがいる!」「岩の上でひなたぼっこしている魚がいる!」とたくさん感動し、たくさん吸収してきました。この感動を少しでも広げたいと、魚の絵を描いたり、各地でお話ししたりするようになりました。
門川 それが環境保全の活動にも広がって、日本ユネスコ国内委員会の広報大使の仕事にもつながっていったのですね。
さかなクン はい。「自然を守る」というと難しそうですが、小さなお子さんにはまず外に出て遊んでほしい。「わあ、お花がきれい」「トンボが飛んでる」「メダカが泳いでる」と感動し、これこそが身近にある自然なんだなと再確認して、初めて「これを壊してはいけない」という気持ちになります。自然を五感で感じることは、大人にとっても大事。僕自身も自然が好きになったからこそ、魚や環境に関する活動を続けてこられたと思います。
門川 自然を大切にし、日本の生活・食習慣を問い直すさかなクンの取り組みは、日本人がいかに生きるべきかを考える今、本当に意味のあることですね。さかなクンのように子どもたちに分かりやすく話し、心に訴えてくださるのは本当にありがたい。またぜひ京都に来てください。
さかなクン はい、ぜひ!




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