京都大好きトーク!門川大作市長とゲストの“きょうかん対談”

第三十一回 動物愛護センターがオープン!人と動物が共生できる、潤いあるまちを目指して
門川大作京都市長 × 糸井重里さん (コピーライター) × 杉本彩さん (女優、京都動物愛護センター名誉センター長) × 友森玲子さん (ランコントレ・ミグノン代表理事)
門川大作京都市長・杉本彩さん・ 糸井重里さん・友森玲子さん 対談写真
門川大作京都市長・杉本彩さん・ 糸井重里さん・友森玲子さん 対談写真
門川大作京都市長・杉本彩さん・ 糸井重里さん・友森玲子さん 対談写真
門川大作京都市長・杉本彩さん・ 糸井重里さん・友森玲子さん 対談写真
門川大作京都市長・杉本彩さん・ 糸井重里さん・友森玲子さん 対談写真
京都動物愛護センター(京都市南区)での座談会に出席した皆さん

<プロフィール>
糸井重里(いとい しげさと)/1948年前橋市生まれ。「不思議、大好き。」「おいしい生活。」などのコピーを手掛けたほか、作詞、ゲームソフト制作などでも活躍。98年にインターネット上で「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設。2014年に友森玲子さんと設立した「ミグノンプラン」取締役に就任。著書に「できることをしよう。ぼくらが震災後に考えたこと」など。
杉本彩(すぎもと あや)/1968年京都市生まれ。87年に東レ水着キャンペーンガールとしてデビュー。映画「花と蛇」に主演するなど女優業のほか、小説やエッセーの執筆、ダンサーとしても活躍。著書に「京都恋めぐり」「ペットと向き合う」など。2014年、動物愛護を目的に一般財団法人(15年に公益財団法人)「動物環境・福祉協会Eva(エヴァ)」を設立。
友森玲子(とももり りょうこ)/動物病院勤務を経て、2002年にペットサロンを開業。07年東京都内に動物愛護団体「ランコントレ・ミグノン」を立ち上げ、東京都動物愛護相談センターから受け入れた動物を譲渡する活動に取り組む。14年5月に糸井重里さんらと共に、保護動物のシェルターを備え、ペットのグッズ販売などとともに犬猫の譲渡会を行う店「ミグノンプラン」を都内に設立。

動物を愛する心、京都でつながる
糸井重里さん門川市長 本日は間もなくオープンする京都動物愛護センターに女優の杉本彩さん、コピーライターの糸井重里さん、糸井さんと共に東京都内で犬や猫の譲渡会を行うお店「ミグノンプラン」を営む友森玲子さんをお迎えしました。まずは皆さん、京都との関わりは?
杉本さん 私は京都に生まれ、20歳まで住んでいました。その後東京を拠点にしていましたが、5年前京都に戻り、今は東京と行ったり来たりの生活です。
糸井さん 僕の生まれは京都ではありませんが(笑)、年を取ったら住みたいなと思っていました。仕事でよく来ていて、それに言われるほど京都人は「いけず」でもないし(笑)。10年ほど前に京都に家ができ、以来月に一度4〜5日、京都で英気を養うと同時に仕事も、という状態です。
友森さん 私は京都生まれでもなく家もありません(笑)。修学旅行以来かもしれない京都ですが、今日は糸井さんと一緒に呼んでいただいてうれしいです。
門川 動物愛護に力を注ぐお三方ですが、それぞれきっかけは?

「できることから」始めることの大切さ
杉本彩さん杉本 たまたま手を差し伸べなければならない猫に出会って。最初は当時住んでいた東京都世田谷区の地域限定で動物の保護活動をしていたんです。そのうち「ひろしまドッグぱーく」事件(犬のテーマパークが経営破綻し、約500匹が劣悪な環境で放置されていた事件)が起きて。日本で山積する動物の問題を知ることになり、そこからどんどん活動が広がっていきました。
友森 私は犬の美容室を開いていて、殺処分となる動物の存在は漠然と知っていましたが、最初は個人では手に負えない問題という認識でした。でも美容室の経営が落ち着いた時に「何か好きなことをしよう」と思い立って。それから行政の施設に収容された動物を受け入れ、譲渡活動などを始めたんです。
糸井 僕の場合は、うちの社員が路地で子猫を見つけおろおろしている時に友森さんと知り合いました。その猫を育て、もらい手を探すプロセスを横目で見ていて興味を持ち始めた。そんな時東日本大震災があり、すぐ友森さんが福島へ被災動物の保護に向かうのを見て、「これは周りが支えないと。何が手伝えるだろう」と考えていったんです。動物の保護施設をつくるのは大変で、公平性が求められる行政だと困難も多いと思いますが、民間なら「できることから」と始められる。そう思って友森さんと「ミグノンプラン」をつくりました。
門川 素晴らしいですね。確かにそういう取り組みは行政主導では難しい。市民の方々の熱い心と行動がなければ。行政だけでは70点。市民参加によってこそ100点にも200点にもなると私は考えています。民間で活動する皆さんにも学び、われわれも頑張ります。杉本さんは昨年に動物愛護の財団法人を立ち上げられ、このたびはここの名誉センター長に就任いただきましたが、今後のご抱負は?
杉本 自分の立場を生かしてできること、講演などはずっと継続していきたいですね。そして京都動物愛護センターを全国のお手本に、という願いがあります。期待するのは、京都の人が家に動物を迎えるときは、センターからもらうのがスタンダードになること。ここならトレーニングされた素晴らしい動物と出会え、飼い主はいろいろ学べる上、一緒に幸せに暮らすためのサポートも受けられる。そのことが浸透すればと思います。
糸井 都会にあるのもいいですよね。友森さんもドイツの動物愛護施設を見てきて「あれは違う。やはり都会にないと」と話していましたよね。
友森 設備は充実していたけれど、車で遠くまで行かないといけなくて。ドイツではいいのですが、日本では同じような場所に施設を造っても譲渡に結び付かないと思ったんです。都心のみんなが来られる場所ならチャンスが増えますよね。

より良い社会を築く要は「人」の志
友森玲子さん門川 センターでは地域に暮らす「まちねこ」(※1)を自主管理する方の支援活動も行います。大学にもまちねこ活動があってね。京都市の人口の約1割を占める学生さんが、卒業後行く先、全国津々浦々で体験を生かしてくれたらと思っています。
友森 授業よりもいい教育じゃないでしょうか。
糸井 まちねこ活動の支援で京都の獣医師会が避妊・去勢手術を無料でするというのも、素晴らしいです。
友森 東京では考えられない。大きいですよ。一番コストがかかりますから。どうやって協働できるように?
門川 動物愛護活動において京都市政を動かしてきたのが、ボランティアと獣医師会の方々です。私が教育長時代、獣医師会の方が何遍も来られて、殺処分をゼロに、動物の命を大事にする理解者を増やしたいと懸命に訴えられた。今では、小学生に動物の心音を聞かせたりして命の大切さを伝える「動物愛護出前講座」をしていただいています。
糸井 交通安全教育みたいに、学校で動物愛護に取り組んでいるんですね。
杉本 講演などで全国各地に伺うのですが、地域によって協力体制って本当に違います。結局「人」なんですよね。
門川 おっしゃる通り。命をモノとして扱わない社会にするために、要となるのは「人」ですね。そして、京都の「人」は志が高いと実感しています。ちなみに先日お越しの他県の方が「犬の殺処分が年間100匹まで減った」とおっしゃったのですが、「京都市では8匹(昨年度)」と言うと驚かれました。
糸井 その数字はすごいです。

人も動物も幸せに暮らせる社会へ
門川大作京都市長門川 さて、動物と人が共生していくためにどうしていくことが必要とお考えですか?
友森 「私たち、動物愛護活動をやっています」と言うと、「たくさんの動物に囲まれていれば幸せな人たち」と誤解を受けることもあります。でも私たちが一番幸せに感じる瞬間は、動物と人の関係がきちんと保てる環境で過ごすとき。動物を増やすのではなくて適正に管理し、きちんとした環境を整える。それを常に念頭に置いて取り組んでいくことが大切と思います。
糸井 「動物愛護はものすごく一生懸命な人しかできない」というイメージがありますが、「私はやらないけれど、応援している」という人の存在も、頑張る人の支えになる。間接的な手伝い方はたくさんあって、「最近はペットショップではなく、愛護センターからもらってくる人が多いらしいよね」と言うとか、社会のムードづくりも大事。そういう“薄い手伝い”をする層をもっと育てることが、自分の仕事かなと思っています。
杉本 誰しも子どものころ「目の前に困っている人がいたら助けなさい」と教えられたと思いますが、動物に対しても同じですよね。でもこの競争社会で鬱積(うっせき)したものを抱えると、どうしてもはけ口が弱者に向かってしまう。そのとき一番犠牲になるのが動物。ですから無責任な行為をどう取り締まるかも大切です。いろんな意見があると思いますが、例えば犬猫の避妊・去勢手術の義務化、戸籍づくり、身元証明のためのマイクロチップ埋め込みといったルールづくりも、動物と人が一緒に生きる限りは必要なのでは。
門川 人々の善意を積み上げていくと同時に、そういった仕組みや杉本さん推奨の「アニマルポリス」(※2)なども必要だと思います。また、動物の譲渡を促進して命をつなげるため、京都動物愛護センターは「京都方式」で運営していきます。専門家、ボランティア、獣医師が連携して収容動物を訓練し、すでに大きな成果につながっています。皆さんのお力をさらにいただいて、動物と人が幸せに共生できるまちづくりを進めていきます。ありがとうございました。

※1 まちねこ:住民合意の下、地域のルールに基づいて適切に飼養されている野良猫
※2 アニマルポリス:動物の遺棄・虐待を取り締まるための専門機関




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