京都大好きトーク!門川市長とゲストの“きょうかん対談”

第四回「環境」 世界をリードする「環境」のまち
門川大作京都市長 × 池坊由紀さん (華道家元池坊次期家元)、佐野藤右衛門さん (造園家)
門川京都市長・池坊由紀さん・佐野藤右衛門さん 対談写真
門川京都市長・池坊由紀さん・佐野藤右衛門さん 対談写真
門川京都市長・池坊由紀さん・佐野藤右衛門さん 対談写真
桜の話に花を咲かせながら、和やかな会談を終えました
<プロフィール>
池坊由紀/京都市生まれ。華道家元四十五世池坊専永の長女。次期家元と していけばなの普及に取り組むほか、講演や執筆活動など、多分野で活躍。
佐野藤右衛門/1928年、京都市生まれ。第16代佐野藤右衛門。円山公園、蹴上インクラインなど、京都の桜を育てる。1999年勲五等双光旭日章受章。

世界で高まる京都へのあこがれ
池坊由紀さん○門川市長 桜の開花予想がそろそろ気になる頃となりました。桜といえば佐野藤右衛門さん。本日はよろしくお願いします。佐野さんが丹精込めて育てられた桜を、毎年いろんな場所で楽しませていただきます。中でも右京区の広沢の池の桜は、欠かさず足を運ばせてもらってます。でも毎年新たな感動があるんですね。
 桜の名所は全国にありますが、京都ほど、周囲の自然や景観ともあいまってしみじみと心に沁みる美しさを堪能できる場所は、ほかにないように思います。
○佐野藤右衛門氏 150万人が住む大都市やのに、清流がまちの中心を流れ、山は近く、田畑ではおいしい米や野菜ができる。四季の機微があり、優れた文化が生まれてきた。こんなまち、京都だけですわな。しかしそんな京都の特別さを、海外などから訪れる人はともかく、京都の人がどれだけ分かっておられるのか心配になります。自分たちのまちの風土をよく知り、それに応じた暮らしやまちの営みを考えることが大切やと思います。
○門川 まちの自然、環境、文化などの特性を知ることが、誇りにつながり、さらに未来に引き継ごうという使命感が生まれる。私もそんな思いで、市民の皆様と誇り、使命感、そして行動を共有し、共に汗する京都ならではのまちづくりを進めようと取り組んでいます。
 さて本日はもうひと方、池坊由紀さんが、素敵な桜の模様のおきものをお召しになってお越しくださいました。池坊さんはいつもきもの姿という印象ですが、お住まいの地域のふれあいまつりでは、地元の役員としてジーパン姿で走り回ってお世話いただいていますね。ありがとうございます。そんな池坊さんですが、全国、世界の中での京都の文化の特性について、日頃感じておられることなどありますでしょうか。
○池坊由紀氏 私が携わっています京都が発祥のいけばなでは、外国のフラワーアレンジメントのように豪華に飾り尽くす美と異なり、一木一草を大切にし、乏しいところ、足りないところに豊かさ、美しさを見出します。枯れた葉にも生命の輝きを見て慈しむ。そんな奥深く繊細な美意識が京都には根付いています。最近は海外の方にも京都独自の文化の深みが理解されてきて、「京都ブランド」の評価が世界でますます高まっていると感じます。
○門川 海外の方々とお話して常に感じるのが、京都へのあこがれ、興味の強さです。海外の京都ファンの方から、「京都にクリスマス飾りが増えましたが、以前はお正月によく見かけた美しい門松やしめ縄が減って残念です」と言われて、慌てて自宅に門松としめ縄を飾りました(笑)。
○佐野 門松は松竹梅を使いますが、本来は間引きした樹木を門松として使い回して作ったものです。しめ縄のわらはもち米の新わらを使いますが、自家用で栽培していたわらを使って作っていました。あるものを上手に使い回すのが京都文化の真髄ですな。

環境問題に挑む京都の使命
佐野藤右衛門さん○池坊 子どもたちにいけばなを教えるとき、花の一本一本がどこで育ち、いつ花が咲き、どんな実ができるのか、その植物のことをよく知るように教えます。このことを私たちは「足で生けよ」と言います。背が高く伸びる草や、地を這うように生育する草など、手間ひまかけて自分で見て自然の姿を知らないと、花の命を生かせないからです。
○佐野 アメリカのスペースシャトルで桜の種を宇宙に持って行き、変化を見る実験計画があり、先日子どもたちとそのための種を採りに行きました。子どもたちは自然の生きものに触れてほんまいきいきしてました。最近は頭で考えるだけで体で覚えることをしない傾向がありますが、体を動かし、体で感じんとわからん大切なことがある。それを子どもにもっと伝えなあかんと思いますね。
○池坊 今、あらゆる面で手間ひまをかけることに対して面倒くさいとする風潮が広がり、社会に様々な課題をもたらしているように思います。それに対し、手間をかけることをいとわない心豊かな文化が息づく京都にこそ出来ること、すべきことがあるように思います。
○門川 手間ひま、心をかけることが大切ですね。「地球環境」の問題も同じです。手間をかけて大切にものを使うことをせず、大量生産・大量消費を続けてきたことが深刻な環境問題を招いています。この地球規模の課題に際し、私も古くから環境共生の文化やライフスタイルを育んできた京都の知恵と実践が、世界に解決の方向性を示せると確信しています。
 今、日本は各国をリードすべく、温室効果ガスを2020年に25%削減(1990年比)する目標を掲げています。本市は更に、2030年までに40%、2050年までに60%の削減目標を掲げ、「環境モデル都市」として国内、世界に範を示そうと果敢に取り組んでいます。
○池坊 厳しい目標だと思いますが、そういう目標を掲げる京都を誇りに感じます。私たちもできる限りのことをしなければと思います。池坊青年部では「もったいないプロジェクト」を立ち上げ、いけばなを通した環境問題への取り組みを進めています。
 また、京都の伝統文化に携わる若手が集まり、「DO YOU KYOTO?ネットワーク」を立ち上げました。環境をテーマにしたイベントなどの活動を進め、少しでも多くの方々に環境への意識を高めていただきたいと取り組んでいます。環境問題について「私は関係ない」という方はおられないはずですからね。

桜を「管理」するのではなく「守り」をする
門川大作京都市長○佐野 桜というのは、同じ場所で育て続けると土が弱って生育が悪くなる「嫌地(いやち)」性が強い木なんです。毎年、多くの人が見に訪れる円山公園のしだれ桜も、先代の桜が植わっていた場所に昭和24年に植えたもので、だいぶ木が弱ってきています。今、土を入れ替えて少しずついい状態に戻そうと頑張ってます。
○門川 佐野さんが人知れず手間をかけ愛情を注ぎ続けておられるからこそ、私たちはあの見事な桜を毎年楽しませていただけているのですね。
○佐野 役所の人らはよく緑地の「管理」なんて言わはりますけど、私がやってんのは植物の「守(も)り」です。「管理」は人間の都合に合わせて世話することですな。しかし「守り」は、植物の立場になってその状態や気持ちに心を寄せながら面倒を見ることです。
○門川 さすが!佐野さんは「桜守り」ですね。「子守り」「見守り」という言葉があるようにまさに子育てや、あるいは環境問題に取り組む姿勢にも通じるお話のように思います。
 改めてお伺いしたいと思います。お二人にとって「京都」とは?
○池坊 背筋がぴんと伸びるまち。いろんなものを包む包容力を持ちながらゆるぎない価値観、基準のようなものが真ん中に通っている。常に自分の在り方が問われ、また教えられることの尽きないまちですね。
○佐野 京都はあらゆることが、千年前のことから話さないと今につながらず、その本質を語ることにならない。とてつもなく奥深いまち。簡単には語れない。でも時間もないみたいやしあえて簡単に言うと「ええとこ」やね(笑)。
○門川 途方もなく永い歴史の中で自然と人間が共生して醸し出してきた奥深い京都文化。その根底を、お二人からお聞かせいただき、改めて感銘を受けました。これからも市民ぐるみで環境を守り、世界に発信していきたいと思います。



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