京 都 新 聞 2005年(平成17年) 6月18日 土曜日

 児童相談所の夜間・休日相談体制を強化 増加する虐待に歯止め
 緊急時の通報に対応 関係機関連携でカバーを

夜間10時までと休日に、児童福祉司ら専門職員が勤務し、緊急の相談にも応じ体制を整えた福知山児童相談所(福知山市堀)
 京都府内の3児童相談所は今月13日から、虐待など緊急性のある相談に対応するため、夜間・休日相談の体制を強化。午後10時までは児童福祉司ら専門職員が勤務する体制を整えた。背景には児童虐待の増加、深刻化がある。虐待が社会問題化し、いつ、どこから通報が入るか分からない現状が浮き彫りになってくる。
(北部総局 河村亮)

 先月、福知山市内に住む20歳のトラック運転手が傷害(幼児虐待)の容疑で福知山署に逮捕された。内縁の妻の2男を殴り、顔などに全治10日間のけがを負わせた容疑だった。

 府内の虐待相談は急増中だ。1998年、電話相談を含めて55件だったのが、2000年には200件を超え、1昨年は312件に達した。虐待者の63%は母親だ。

 府北部の福知山市、舞鶴市、宮津市など5市7町をエリアとする府福知山児童相談所でも、年々増加傾向だ。98年の14件が、03年は93件にも上った。12件の緊急保護のうち4件が夜間だった。3歳児虐待の母親逮捕で、被害児童を夜間緊急保護したケースもあった。

 相談件数の増加は、児童虐待防止法で虐待を見つけたら通報することが義務づけられたことが大きい。通報経路も九九年は、ゼロ件だった近隣・知人が昨年は31件、学校も2件から43件に増えた。虐待の情報、相談はいつ、どこから入るか分からない。今回の緊急時間帯の強化は、それを踏まえての対策といえる。

 府福知山児童相談所の場合、午後5時15分以降、休日の宿当直は、嘱託の40代と60代の男性が交代で担当している。いずれも福祉司などの資格はない。「これまでは用件を聞いて、専門職員と連絡を取り、専門職員が判断していた」と同相談所の小原一泰所長は言う。「医師や相談所のOB職員を探してもなかなかいない」実情だ。

 新しい体制では、「夜も安全と安心感をもってもらう」のが府のねらい。各相談所に児童福祉司や心理判定員ら専門職員を1人ずつ増員した。しかし、勤務時間も増えるため、専門職員が平日八人態勢だったのが、7人になる日もあるという。福祉司と判定員とは基本的にはペアで対応することが多く、課題は残る。

 日本の児童相談所は、虐待児童を親などからいったん保護し、再び戻す再統合まで行う。そのため親との信頼関係は重要だ。強制的な隔離は必ずしも親子のためにはならない。子どもたちの命にもかかわる、ぎりぎりの見極めが必要となり、福祉司たちのストレスは大きい。

 一方で、府内各地で保健所、警察、学校、市民グループなどもっと広くネットワーク化して虐待防止を支援しようとする動きがある。福知山市でも児童虐待防止市民会議が昨年発足した。「児童相談所の専門員だけでなく、関係機関の連携で、個別のケースをそれぞれの制度でカバーし合う。親子が健やかに育つ環境づくりがより重要になる」と小原所長は語る。