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京セラ・稲盛氏「起業支援へ大手協力を」 京都経済の未来語る

ベンチャー支援の必要性を話す稲盛和夫名誉会長(京都市伏見区・京セラ本社)
ベンチャー支援の必要性を話す稲盛和夫名誉会長(京都市伏見区・京セラ本社)

 伝統産業を土台に数々のハイテク企業を生んできた京都だが、近年は廃業率が開業率を上回るなど勢いに陰りもみえる。一代で京セラを世界的な電子部品メーカーに育てた稲盛和夫名誉会長に、未来の京都経済を切り開く起業家の育成や中小企業の経営、社員の働き方について聞いた。

 -最近の京都のベンチャー事情をどう見られていますか。起業活性化への考えは。

 「ベンチャーの誕生が少ないと感じる。もっと増やした方が良い。京都の大手企業で協力し、ベンチャーに投資するファンドを立ち上げてはどうか。徒手空拳で会社を立ち上げた無名の起業家に投資するような。起業の最初の試練は、経営に必要な数百万円や数千万円の資金調達だ。投資先の半分が失敗する可能性もあるが、それくらいリスクを取っても今、やるべきだ」

 -事業のアイデアを持ちながらも起業を悩む人もいます。

 「アイデアを実現するには必死で努力するしかない。ただ、京都企業によるファンドをつくり手厚く支援すれば、起業する機会も増える。熱意のある人を勇気づけ、側面から助けることができる」

 -創業間もないベンチャーは実績がないため、取引先の開拓で壁に直面します。

 「どんな困難も、熱意を持って必死に努力する以外に打開する方法はない。私は鹿児島大卒業後、長岡京市の碍子(がいし)メーカーの研究部門に配属され、会社に鍋や釜を持ち込んで、ご飯とみそ汁を作りながら電子部品向け新規材料の開発に没頭した。完成した材料を東京の大手企業に売り込んだが、『無名の中小企業からは買えません』と何度も追い返された。らちが明かないので単身渡米して大企業のドアをたたいて説明し、採用され、その実績で日本の大企業に使ってもらえるようになった。『頑張っても報われない』というのは努力が足りないということだ」

 -若い経営者は協力してくれる人脈づくりでも苦労しています。

 「人脈をつくりたいなら、努力して会いたい人のところへ足しげく通えばよい。最初はけんもほろろに扱われても、熱心さにほだされて協力する人が出てくる。私はその連続だった」

 -中小企業で同じ目標に向けて社員を一丸にするにはどうしたら良いでしょうか。

 「リーダーが情熱を持って仕事に向き合えば、それが以心伝心で社員に伝わる。私は社員に『人生は竹とんぼのようなものだ』と言ってきた。自分で努力して竹とんぼを回さないと空中に上がらず、地面に落ちる。浮き続けるだけでも相当回さないといけない。ましてや上空に飛び立つには、必死で回す必要がある。社長が社員を巻き込み、一生懸命にやるしかない。社長がイスにふんぞり返って指示するだけではうまくいかない」

 -社員の働き方も最近は注目されています。仕事と生活の両立など、今の時代に合った働き方への考えは。

 「どんな時代でも一生懸命に働くことが必要なのは同じだ。最近はがんがん働くことが時代錯誤のように思われているが、そうではない。平和で豊かな社会でも安逸をむさぼるのでなく、自分の精神や意欲を高め、自分がやりたい仕事や研究を立派にしたいと情熱を燃やし、努力しなければならない。家族を養うだけの給料をもらっているなら熱心に仕事をするのは当然だ」

【 2017年01月03日 17時00分 】

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