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国内の子牛、価格高騰「モー大変」 滋賀、近江牛にも影響

繁殖を手掛け、生まれた子牛に餌をやる田井中龍史さん(滋賀県東近江市大中町・田井中牧場)
繁殖を手掛け、生まれた子牛に餌をやる田井中龍史さん(滋賀県東近江市大中町・田井中牧場)

 国内の子牛価格がこの5年間で2倍近くに高騰し、値下がりしない異例の状態が続いている。繁殖農家の高齢化や離農で子牛の需給バランスが崩れていることが背景にある。肉の価格も上昇しており、仕入れた子牛を育てて近江牛として出荷している県内の肥育農家だけでなく、スーパーや精肉店も対応を模索している。

 子牛産地の宮崎県で家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」が2010年に発生し、母牛が大量に殺処分されたことなどを契機に、繁殖農家はこの5年間で25%も減った。良質な母牛を育て、妊娠、出産を経て子牛を市場に出すまで何年もかかるため、市場の「競り」で限られた子牛の取り合いが始まった。

 農林水産省の統計によると、黒毛和種の子牛1頭の平均売買価格は、口蹄疫発生前年の09年度が36万1825円だったのに対し、10年度は3万円ほど上昇。その後も右肩上がりで、15年度は69万6425円と過去最高を更新した。16年度は第2四半期までで80万5千円に達し、100万円を超す子牛も登場している。

 同省食肉鶏卵課は「黒毛和種の母牛の頭数は昨年末、6年ぶりにプラスに転じた。母牛が増える局面に入り、子牛も次第に増えていくだろう」と予測する。

 昔から「繁殖と肥育は別物」と言われる牛業界だが、子牛相場に左右されない経営を目指し、県内では繁殖も手掛ける肥育農家が増えている。

 田井中牧場(東近江市大中町)では先代社長の田井中龍亮さん(64)が繁殖を担当し、3年前から年間出荷頭数(約100頭)のうち半数を自家生産でまかなっている。長男で現社長の龍史さん(41)は「母牛の体調管理は難しく、順調に出産する保証はない上に餌代も余計にかかる。それでも、子牛がこれだけ高くなると、いくつかハードルはあっても繁殖はやったほうがいい」と話す。

 まる亀こうし牧場(近江八幡市大中町)は経費を抑えるため、JA全農を通さずにメーカーから直接、飼料を仕入れている。昨年6月には直営のホルモン焼き肉店を同市桜宮町に開いた。亀井頌司(こうし)社長(33)は「繁殖も手掛け始めているが、相場の動向が読めないだけに、肥育、繁殖に加えて販売も勉強したい。牛としっかり向き合えば生き残れるはず」と考える。

 子牛価格に合わせて肉も値上がりしている。滋賀食肉センター(同市長光寺町)では昨年4~11月、1833頭を取り扱った。枝肉1キロ当たりの平均価格は3107円で、5年間で約1・6倍になった。

 影響は食卓にも波及している。県内を中心に展開するスーパーの平和堂(彦根市)は牛肉の特売日を減らし、豚肉の販売構成比を増やしている。昨年、牛肉の一部商品や特売価格を値上げしたところ、消費者の反応は厳しく「一時的に販売不振に」(広報部)。消費者の牛肉離れを防ぐため特売価格を元に戻し、メニュー提案などを重視する。

 休暇村近江八幡(同市沖島町)も15年冬、近江牛会席コースを540円値上げした。精肉店「近江かね安」(同市鷹飼町)の安田茂さん(63)は「スライスの販売価格が(100グラム当たり)800円からで、お客さんにもっと安いものはないかと聞かれる。価格の高騰にお客さんが付いてこられず、このまま10年続くと全国の肉屋は半分に減るのではないか」と懸念する。

【 2017年02月06日 10時30分 】

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