出版案内
福祉事業団
京都新聞AR

未払い賃金請求、時効巡り賛否 厚労省が延長検討

労働基準法と改正民法が定める請求時効
労働基準法と改正民法が定める請求時効

 未払い賃金を勤務先に請求できる時効期間の延長が、厚生労働省で検討されている。現行の労働基準法では労働者は2年分しか請求できず、逆に賃金の過払いがあった場合、事業者は10年分の返還を労働者に求めることができるため、長年、労働団体から「不平等だ」との批判が強かった。5年への延長案が有力だが、経営者側の反発もあり、京都の関係者からも歓迎や慎重な対応を求める声が上がっている。

 現行民法で債権の時効は原則10年だが、賃金は特例で1年に限定し、労基法は労働者保護のため2年と定める。昨年成立した改正民法(2020年4月施行)では特例を廃止し、「権利を知った時から5年」にすることが決まった。厚労省は民法と労基法のずれを是正するため、昨年12月、専門家の検討会を設置し、労基法の時効について議論を始めた。

 労働者には期待が大きい。長年に渡る未払い残業が発覚しても2年分しか支払われず、泣き寝入りした労働者が多いからだ。一方、事業者が給与を多く払いすぎた場合、民法の不当利得(時効10年)が適用されるため、労働組合には「労働者より企業を保護している」との不満が根強い。日本労働弁護団全国常任幹事の塩見卓也弁護士(京都弁護士会)は「時効を5年以上にしなければ労基法の趣旨である労働者保護に反する。時効延長はサービス残業を強制するブラック企業の抑止につながる」と訴える。

 経営者側からは懸念の声もある。企業の顧問弁護士でつくる「経営法曹会議」の伊藤昌毅事務局長は「中小企業にとって死活問題」と話し、「労基法は使用者に酷とならないよう時効を短くした側面がある」との意見書を検討会へ提出した。賃金や勤務表といった資料の保存期間は3年だが、時効が延長されれば期間は延びる。未払い賃金が莫大な額になれば経営悪化を招く恐れもある。

 京都府中小企業団体中央会の山口靖弘事務局長は「未払い賃金を支払うのは当然」としつつ、「多くの中小企業は人事担当者が別の業務を兼務している。時効が大幅に延長されれば、資料保存や訴訟リスクが大きな負担になる」と危ぶむ。

【 2018年05月05日 21時00分 】

ニュース写真

  • 労働基準法と改正民法が定める請求時効
京都新聞デジタル版のご案内

    地域の経済ニュース

    全国の経済ニュース

      政治・社会

      京大立て看板撤去、撤回を要請 周辺住民、市条例改正も

      20180523000178

       京都市の屋外広告物条例に違反するとして京都大が吉田キャンパス(左京区)周辺の立て看板を..... [ 記事へ ]

      スポーツ

      ロ0―2日(23日)
      上沢が2試合連続完封

      20180523000212

       日本ハムは一回、中田の適時二塁打で1点を先制し、四回にレアードのソロで加点した。九回表..... [ 記事へ ]

      観光・社寺

      住宅地の小川にホタル舞う 滋賀・守山

      20180523000210

       滋賀県守山市の中心部の小川でゲンジボタルが淡い光を放って飛び交っている。市内を散策しな..... [ 記事へ ]

      教育・大学

      自主撤去タテカン、これが「表現」 京都市立芸大で展示会

      20180519000121

       景観や安全性を理由とした撤去騒動が起こっている京都大の名物「立て看板」の展示会が19日..... [ 記事へ ]

      環境・科学

      胎児をネットで遠隔診断
      心臓病発見、へき地医療に

      20180523000135

       インターネットを活用して遠方の病院から送られた胎児の心臓の動画を診断し、先天性の心臓病..... [ 記事へ ]

      国際

      釜山総領事館前設置を再度主張
      徴用工像巡り韓国の市民団体

      20180523000208

       【釜山共同】韓国の労働組合などでつくる市民団体が南部釜山の日本総領事館前に、かつて日本..... [ 記事へ ]