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原発事故避難、どう教える 高浜30キロ圏の京都府北部

原発事故を想定した避難訓練で、教職員に服をはらってもらい校舎に入る児童たち(舞鶴市東吉原・吉原小)
原発事故を想定した避難訓練で、教職員に服をはらってもらい校舎に入る児童たち(舞鶴市東吉原・吉原小)

 福井県高浜町の関西電力高浜原発の再稼働を受け、原発から30キロ圏の緊急時防護措置準備区域(UPZ)にある京都府北部の学校で、原発事故時の対応を学ぶ防災教育の取り組みが広がりつつある。放射線と防護について子どもたちにどう伝え、理解させるか、学校現場は模索している。

 阪神淡路大震災から21年を前にした1月15日、高浜原発から約18キロの舞鶴市東吉原の吉原小で、原発事故を想定した避難訓練が初めて行われた。「舞鶴市から屋内退避の連絡がありました」と校内放送が鳴り響くと、運動場にいた児童らがハンカチや手で口と鼻を覆い、校舎の入り口前で教職員に洋服をはらってもらい、教室へと向かった。

 大久保智子校長は児童たちに、日常的に自然界からやエックス線検診などで放射線を浴びていることを説明、原発事故で放射性物質が放出されると、健康に影響が出る可能性があることを伝え、「被害に遭わないように遠くの地域に逃げることもある」と話した。

 府教育委員会は「学校における安全教育の手引-原子力防災編」の中で原子力防災教育の目標と指導事項をまとめ、府内6市町の原発30キロ圏にある小中高と幼稚園67校・園(特別支援学校含む)は本年度、避難マニュアルを策定した。小学低学年は放射線や安全な避難の仕方などを学び、中学では身体への影響や情報収集の仕方などを学ぶ内容。

 府教委保健体育課は「危険回避能力を身につけさせたい。現段階は定着への第一歩」とするが、現場の校長は「目に見えない放射線の危険性をどこまで教えるか難しさはある」と打ち明ける。

 文部科学省の学習指導要領では、原発関連の内容として中学3年の理科にエネルギーや放射線が取り上げられているが、小学ではほとんど触れられていない。文部科学省は副読本を出しているが、専門家の一部からは「放射線の危険性が過小評価されている」と批判も出ている。

 高浜原発から約10キロにある舞鶴市大波下の若浦中は1月18日、原発と事故について学ぶ初めての授業を行った。府の資料を基に学習資料を作成、高浜原発と大飯原発の位置を示し、事故発生時の屋内退避や、市が指定する避難集合場所の存在などを教えた。同中には重大事故時に即時避難する5キロ圏に暮らす生徒もいる。亀井雅之校長は「子どもたちが自分たちで考え、万が一に備えた必要な知識を学ばせたい」と話す。

 一方で30キロ圏のある校長は「原発は賛否が分かれるテーマ。危険だけが一人歩きしてしまうのではないか」と学校教育で取り組む難しさも明かす。

 立命館大産業社会学部の山下芳樹教授(理科教育)は、国の将来を決める主権者となる子どもたちの学びの観点から「事故にどう対処するかだけでなく、原発へのさまざまな視点、どんなエネルギーが必要なのかという広い視野に立った、子どもたちなりの考えが議論できる教育環境も必要だ」と指摘する。

【 2016年02月29日 17時00分 】

ニュース写真

  • 原発事故を想定した避難訓練で、教職員に服をはらってもらい校舎に入る児童たち(舞鶴市東吉原・吉原小)
  • 若浦中(舞鶴市)が作った学習資料。原発からの距離や避難行動が書かれている
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