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「学校のどこが嫌?」 京都の教員、フリースクールに学ぶ

学校での過去やフリースクールのあり方について橋本教育長(右)と意見を交わす生徒たち=亀岡市南つつじヶ丘・学びの森
学校での過去やフリースクールのあり方について橋本教育長(右)と意見を交わす生徒たち=亀岡市南つつじヶ丘・学びの森

 不登校の児童や生徒が通うフリースクールに対して、教育委員会や学校関係者の関心が高まっている。京都府教委の教育長をはじめ乙訓地域の小中学校の現役教員が11月、亀岡市内のフリースクールを相次いで視察した。自発的な取り組みとする一方で、2月に施行された教育機会確保法に不登校であっても生徒や児童が学ぶ権利を明記されたことが大きい。「水」と「油」の関係とも言われた学校とフリースクールとの関係に、「雪解け」が起きているようだ。

■「スクールカースト」

 11月下旬、亀岡市や京都市の不登校生徒15人が通うフリースクール「学びの森」(南つつじケ丘)に、府教委の橋本幸三教育長が訪れ、「今日はみんなの意見を聞かせてくれるかなぁ。学校のどこが嫌だったんだろう?」と笑顔で切り出した。

 14歳から17歳までの生徒5人が答え、「女子の中で『カースト』のような関係があった」「先生の過剰な期待が重かった」などと、苦しかった過去を打ち明け、橋本教育長は真剣な眼差しで聞いた。さらに引きこもりやうつ状態にあった不登校期間を経て、「個性や自由が認められる、このフリースクールと出会い、進学や就職といった将来を前向きに考える力を取り戻した」などと語っていた。

 プロである教育関係者がフリースクールを公務として視察する背景には教育機会確保法がある。国は、不登校などで義務教育を受けられない子どもに対しても国や自治体が支援すると明記し、学校以外の学びの場の重要性を初めて認めた。

 学校現場の教員によると、これまで担任するクラスから不登校の児童や生徒が出ると、何となく「恥」と捉える風潮があり、フリースクールに対して「何をしているのか分からない」「不登校を助長するのでは」として敬遠してきた。

 一方で、少子化にもかかわらず不登校の児童や生徒は増加傾向にある。府内でも2016年度で2625人だという。目標を取り戻せる可能性があるフリースクールは学校にとっても無視できない存在になりつつある。

 生徒との意見交換会を通して、橋本教育長も「学校になじみにくい子は絶対にいる。学校だけが学ぶ場所ではないとは立場上、言いにくかったが、法律が施行されて、それも言えるようになった」と本音を漏らした。

 11月上旬に訪れた乙訓地域の養護教諭も「悩む子に接する機会が多いが、手だてがないのが実情だった。一つの選択肢として、近くにフリースクールがあれば紹介できるのに」と率直に話した。

■苦しい資金繰り

 とはいえ、フリースクールは実質的に「私塾」のため、資金繰りは苦しい。無償の義務教育とは違い、学費は児童・生徒側の負担となる上、フリースクールの運営はぎりぎりの状態だ。法には、行政の経済的支援の重要性もうたわれ、府教委は本年度、助成金を付けたがわずか年間50万円で、亀岡市教委は一切行っていない。一方、不登校対策に力を入れる鳥取県は、上限300万円を補助する独自制度を設ける。

 1年前から通う男子生徒(16)=京都市右京区=は「母子家庭で家計は苦しい。ここがあり勉強できてありがたいが、申し訳なさもある。何とかならないか」と訴える。

 学びの森では、スタッフの大半が教員免許を持ち、研修にも力を入れる。北村真也代表(55)は「教育の質を担保するには、どうしてもコストがかかる。学校が合わない子どもは今後もゼロになることはない。行政には、よりよい連携や支援のあり方を模索してほしい」と強調した。

 フリースクールは、施設によって教育方針も内容も異なる。多様性や質の担保をどう見極め、どんな支援をしていくか。子どもたちに学びの選択肢を増やすための新たな扉が開きつつある。

【 2017年12月10日 17時00分 】

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