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福井の原発過酷事故時 琵琶湖、流域長期汚染か

琵琶湖で土砂堆積物を採取、湖底の撮影をした遠隔操作探査機を引き揚げるグリーンピース・ジャパンのスタッフたち(今年3月24日、草津市北山田町・琵琶湖畔)
琵琶湖で土砂堆積物を採取、湖底の撮影をした遠隔操作探査機を引き揚げるグリーンピース・ジャパンのスタッフたち(今年3月24日、草津市北山田町・琵琶湖畔)

 福井県内の原発が過酷事故を起こした場合、放出された放射性物質がどのように琵琶湖や下流域に影響するかを予測する調査を、国際環境保護団体のグリーンピース・ジャパン(本部・東京都新宿区)がこのほど行った。同団体は東京電力福島第1原発の事故で放出された放射性物質が周辺の山林で蓄積され、食物連鎖など動植物の生態系の中で循環している実態を独自に調査。これを踏まえ、琵琶湖の周辺でも、山林に放射性物質が降り注げば、食物連鎖などで動植物や土壌の中に滞留し、河川や地下水などを通じて、長期間にわたって琵琶湖と下流域を汚染し続ける可能性が高いと推測する。

■グリーンピース、地形から予測

 グリーンピース・ジャパンは今年3月、福島第1原発の周辺の海や河川の計44カ所で土砂堆積物を採取し民間の調査機関で分析した。その結果、福島県南相馬市の新田川の土手から土砂1キロ当たり2万9800ベクレルを検出。福島第1原発から約75キロの距離にある阿武隈川の土手でも同6500ベクレルを計測した。

 一方、ほぼ同じ時期に実施した草津市と高島市、長浜市北部、同市南部の計4カ所沖の琵琶湖では、長浜市南部で同13ベクレル、同北部で同7・1ベクレル、高島市と草津市では不検出だった。福島の汚染度の深刻さがあらためて浮かび上がった形だ。

 「だが、福島で起きていることをみれば、原発事故後に滋賀県と琵琶湖で何がおきるのか、容易に想像できる」。国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンの核問題専門家ジョン・バーニーさんはこう指摘する。

 バーニーさんはチェルノブイリ原発事故の被災地などで放射性物質がどのように残留し、汚染を広げるのかなどの調査を重ねてきた。着目するのは「地形」だ。

 滋賀県は、琵琶湖と盆地を取り囲む形で山が連なり、山々を源流とする約460本の川から流れ込む水が湖を形成する。一方、福島では原発が立地する沿岸の背景に険しい山地が連なり、阿武隈川などの河川が太平洋に流れ込む。

 バーニーさんは「湖と海の違いはあるが、放射性物質が山に降り注げば山から河川を通じて下流域を汚染し続ける」と指摘。放射性物質は福島の場合、太平洋で拡散しているが、出口が1本しかない琵琶湖では、汚染は福島以上に深刻になると警告する。

 なぜ、山が放射能の供給源になるのか。同団体のエネルギー担当で生態学の専門家でもあるケンドラ・ウルリッチさんによると、セシウム134など人工的に作られた放射性物質は水溶性で、動植物はカリウムやカルシウムなどの栄養素と同様に体内に取り込んでしまうという。同団体の調査によると、チェルノブイリ事故の影響を受けたクロアチアでは放射性セシウムが花粉や蜂蜜からも検出されている。

 「放射性物質は食物連鎖などを通じて生態系を循環しながら拡がる。放射性物質が森林に入れば、樹木が汚染物質の貯蔵庫になり、生態系への影響は数十年、数百年と続く。除染で取り除くのは絶対に不可能だ」と指摘する。

【 2016年08月29日 08時22分 】

ニュース写真

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