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iPS移殖、最大3割で拒絶反応 京大研、再生医療用で

京大のストックするiPS細胞への拒絶反応
京大のストックするiPS細胞への拒絶反応

 京都大iPS細胞研究所(CiRA)が再生医療用にストックしているiPS細胞(人工多能性幹細胞)の移植で、遺伝子型を一定適合させた場合でも、最大3割で拒絶反応が生じる可能性のあることを、京都大ウイルス・再生医科学研究所の河本宏教授や生命科学研究科の一瀬大志研究員らが突き止めた。ストック計画の対象は拒絶反応を起こしにくいタイプのiPS細胞だが、移植時の処置を検討する重要性を示した。米科学誌ステム・セル・リポーツに25日、発表する。

 移植を受けた患者の免疫細胞は、組織を提供したドナーの細胞にあるタンパク質「HLA」のうち、自身と異なるHLAを標的に攻撃する。HLAのタイプは膨大にあり、他人同士で一致する可能性はほとんどない。

 HLAの型は、両親からそれぞれ受け継いだ一対の遺伝子で決まる。両親から異なる遺伝子を受け取った人はヘテロ型と言われるが、まれに同じ遺伝子型を両親からもらったホモ型の人がいる。ホモ型のドナーは細胞にあるHLAの数が少なく、遺伝子型の合致する移植先を見つけやすい。CiRAもホモ型のストック事業を進める。

 一方で、ヘテロ型の患者と合致したホモ型ドナーの細胞を使っても拒絶反応が起こる可能性は指摘されていた。河本教授らは、CiRAがストックしているのと同じホモ型のiPS細胞から、リンパ球と血管内皮細胞を作製した。これらの細胞と、遺伝子型を適合させたヘテロ型の免疫細胞「ナチュラル・キラー細胞(NK細胞)」を試験管内で混ぜたところ、各細胞を攻撃した。特定のHLAがないためNK細胞が「異物」と認識したためという。

 さらに解析し、ストックが進んでさまざまなホモ型が集まった時には、3割で拒絶反応を起こすことが判明した。

 河本教授は「ストック事業の意義は揺るがない。ただ移植前に患者の遺伝子を調べて免疫反応が起きないか確認する上で、より詳細な検査が必要になるはず」としている。

■実際に確認、重要な研究

 京都大iPS細胞研究所の山中伸弥所長のコメント HLAホモのiPS細胞を使った移植でも、NK細胞に認識されて拒絶反応が起こることは想定していたが、試験管レベルで実際に確認した重要な研究と言える。今回の成果を踏まえ、実際に人に移植する際にHLAをマッチさせる有用性を確かめていきたい。

【 2017年08月25日 01時10分 】

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