出版案内
福祉事業団

京都の紅葉から千年超の気温分析 低温期や温暖化影響

日記などから推定する10月の平均気温
日記などから推定する10月の平均気温

 京都の紅葉(カエデ)の見頃は過去1千年超の中でどう変化してきたか。大阪府立大の青野靖之准教授(農業気象学)は、平安貴族の日記などを分析し、紅葉の時期に関係する秋の気温推定を進めている。見頃が早い年が多かった15世紀半ばや19世紀初頭は低温期だったとみられ、太陽活動が周期的に弱かった影響も考えられる。戦後は見頃が遅くなる傾向があり、温暖化の影響が大という。

 「西山の辺り、紅葉を見る」。999年10月28日(太陽暦換算)の藤原道長の御堂関白記には、こう記されている。1226年11月7日の藤原定家の明月記には「紅葉之盛」とある。

 こうした日記や明治以降の新聞を基に、918~2012年の間で計503年分の紅葉日データを収集。具体的には(1)紅葉の盛り(2)紅葉を見た(3)紅葉した枝を進上した-記述と、(4)紅葉が詠まれた詩歌を集めた。同じ年に複数の記述がある場合は、盛りを明記した(1)から順に選んだ結果、(1)236年分(2)203年分(3)28年分(4)36年分が得られた。

 15世紀と17~20世紀は50年超のデータが集まり、紅葉日は11月16日の前後10日間を中心に推移した。

 さらに、まだ温暖化の影響が少なかった1896~1925年に実際に観測された気温と紅葉日の関係を基に、それ以外の時代でも紅葉日から気温を推定できる数式を作成。10月の推定平均気温をグラフ化した。

 おおむね14~17度台で推移する中、15世紀半ばと19世紀初頭に比較的低温期がみられ、それぞれ太陽活動が周期的に弱まった「シュぺーラー極小期」「ドルトン極小期」にあたるという。

 また、戦後は見頃が11月下旬になる年が増え、「都市のコンクリート化などによる温暖化の影響」とみる。

 青野准教授は、京都のヤマザクラの満開日なども分析し、春の気温の変遷を推定。紅葉と同様、太陽活動が弱まると気温が低くなる傾向があったという。「1千年前からの日記が脈々と残る京都でしかできない調査。太陽活動の盛衰がこれだけデータ的に現れるとは予想外だった」と話す。

 過去の紅葉日などのデータは同研究室のホームページhttp://atmenv.envi.osakafu-u.ac.jp/aono/で公開している。

【 2017年11月03日 12時10分 】

ニュース写真

  • 日記などから推定する10月の平均気温
  • 青野靖之准教授
京都新聞デジタル版のご案内

    環境・科学のニュース

      政治・社会

      京都移住で「半農半X」を 東京・秋葉原でフェア

      20180120000104

       京都への移住に関心がある人たちを対象にした京都府の「移住・交流フェア」が20日、東京・..... [ 記事へ ]

      スポーツ

      スノボW杯男子HP、戸塚が2位
      3選手の五輪代表確実に

      20180121000001

       スノーボードのワールドカップ(W杯)は20日、スイスのラークスでハーフパイプ(HP)決..... [ 記事へ ]

      経済

      ドローンビジネス「視界良好」 京都の企業、データ収集活用

      20180120000065

       小型無人機ドローンを活用したビジネスが広がりを見せている。ドローンの販売や関連サービス..... [ 記事へ ]

      観光・社寺

      新春の濃茶、もてなし和やかに 武者小路千家が東京初釜

      20180120000114

       茶道武者小路千家の東京初釜が20日、東京都文京区の東京稽古場で始まった。訪れた各界の招..... [ 記事へ ]

      教育・大学

      「軍機」医学、歴史の闇に <731部隊軍医の博士論文>

      20180119000140

       京都府精華町の国立国会図書館関西館で閲覧した731部隊の平澤正欣軍医の博士論文には不自..... [ 記事へ ]

      環境・科学

      快適追求の陰に危うさ <連載「いのちとの伴走」を終えて>

      20180118000179

       科学技術の成果は現代社会の隅々まで張り巡らされ、生の形を変えてきた。だが、快適な生活が..... [ 記事へ ]