凡語 京都新聞トップへ

サンマもウナギも

 秋風が吹きだす頃、脂の乗った焼きサンマを大根おろしとスダチ、しょうゆでいただく。至福のひとときといえる。炎暑の時季、京都で旬の食材といえばハモ。サンマの話は少し早いが、ご容赦を▼そのサンマが先週、北海道で水揚げされ、初競りのご祝儀相場とはいえ1匹当たり約7万円の高値で取引された。かつては庶民の味だったのに、すっかり超高級魚に出世してしまった▼日本のサンマ漁獲量は年間20万~30万トンで推移してきたが、ここ2、3年、急激に落ち込み、昨年は10万トンを下回った。温暖化の影響に加え、昨今、台湾などでサンマ人気が高まり乱獲が進んでいるのが原因らしい▼サンマの資源枯渇を案じる日本は今月、東京で開かれた北太平洋漁業委員会の年次総会で乱獲防止のルールづくりを提案した。しかし参加各国の思惑が絡み、交渉が決裂したのは残念▼枯渇の懸念がもっと深刻なのがウナギだ。「絶滅危惧種」寸前といわれるニホンウナギは、養殖用稚魚の乱獲や密漁が後を絶たない。資源を顧みない人間の旺盛な食欲のせいで、消費量が突出する日本の責任は重い▼きょうは「土用の丑(うし)」。ウナギにとっては厄日に違いない。サンマにも増して「高根の花」となったウナギを賞味する食文化も捨て難いが、海の異変は看過できない。

[京都新聞 2018年07月20日掲載]

バックナンバー


凡語 書き写し
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)