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誤用

 汚名挽回のため寸暇を惜しまずに働き、バラエティー番組で気分転換してひとり爆笑する。脈絡のないことをいきなり書いた。実は間違いだらけの文章である。みなさんはわかりますか?▼汚名を取り戻す必要は全くない。「汚名挽回」と違って「名誉挽回」「汚名返上」だ。「寸暇」とはわずかな空き時間。それを惜しまないのなら休憩ばかりしていることになる▼テレビの前で笑い転げるのはいいが、ひとりで爆笑するのは無理。大勢が大声でどっと笑う。それが「爆笑」だと広辞苑にある。もっともらしく講釈しているが、ここ何日かで再確認したことばかり。偉そうには言えない▼文化庁の「国語に関する世論調査」のまとめが先週発表された。毎年のことだが、不勉強を省みる。何気なく使っている言いまわしが不安になり、この時期は頻繁に辞書をひく▼設問にあった「噴飯もの」。腹立たしいことだとばかり覚え込んでいた。本来の意味は「おかしくてたまらないこと」。こらえきれずに食べているご飯を噴き出すほどに。うまい。最初に使った人の感性に感心してしまう▼駟不及舌(しもしたにおよばず)。一度口に出した言葉は戻せない。文章も同じ。若いころの記事を読み返し、赤面する。誤用。それも堂々と書いている。噴飯もの、である。

[京都新聞 2013年09月30日掲載]

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