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筏流しの復活

 繁華街・河原町の京都BALビル内にある「無印良品」カウンターに、丹波産ヒノキを用いた壁画が飾られている。筏(いかだ)流しの復活プロジェクトで用いられた木材を再利用した▼今春に刊行された単行本「京の筏 コモンズとしての保津川」(ナカニシヤ出版刊)は、亀岡市の京都学園大の研究者や学生が、保津川下りの船頭やNPO、幅広い市民と連携した復活プロジェクトなど共同研究の成果をまとめた▼丹波の木材は筏に組んで川を運ばれ、平安京や社寺の造営などに寄与した。プロジェクトのメンバーは川を下る技術や組み方、道具の製造法を先人から学んだ▼一つなぎを組むことから始めた筏を3連、6連と増やして、往事のように全長50メートルの12連で、保津川の一部を下った。保津峡の難所を経て、嵐山まで下った姿に一歩ずつ近づいている▼川は、農林漁業のために多様な人々が利用し、山と都の暮らしをつないだ。時には洪水で生活と命を脅かす。ダムや堤防などが整備されると、人々の関心は次第に薄れて、ごみが捨てられるようになった。都市の住民は、川の恩恵を忘れがちだ▼「川で再びみんながつながろう」。都心のファッションビル内の木製壁画には、筏流し復活プロジェクトや本の執筆に携わった人たちの、そんな願いが込められている。

[京都新聞 2016年05月08日掲載]

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