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連合の迷走

 1968年、米国テネシー州メンフィスでごみ収集の黒人労働者たちがストを行った。業務中に事故死した2人の仲間に何の補償もないことへの抗議だった▼「I AM A MAN」。参加者たちが掲げた「私は人間だ」はその後の労働運動や人権運動に共有されていく。公民権運動の指導者キング牧師も駆けつけ、労働者を励まし共に歩いた▼労働組合の中央組織「連合」が迷走している。「残業代ゼロ」法案に対する突然の方針転換がきっかけだ。事務局長らが政府高官とひそかに会って法案の一部修正で合意していた▼労働組合の組織原理は民主主義である。時間がかかってもみんなで議論して決める。トップダウンはありえない。なのに、連合は役員が「ボス交渉」に手を染めていた。組合員らが怒るのも無理はない▼過労死や残業代不払い、不安定雇用の増加など、働き方を巡る問題は深刻さを増している。「私は人間だ」という叫びは、現代日本にも共通する訴えではないか。連合幹部は政府高官と密談する前に、こうした声に耳を傾け一緒にデモ行進すべきだろう▼「働き方改革」を本物にしていくために、私たち労働組合が役割を果たすことが必要だ-。連合のホームページにはこう記されている。そのためにも、早く原点に立ち返ってほしい。

[京都新聞 2017年07月27日掲載]

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