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水俣病の救済

 真っ青な不知火海(八代海)を望む熊本・水俣市の湾岸に、公園などが並ぶ広大な埋め立て地がある。水俣病の原因となった有機水銀を含むヘドロをしゅんせつして、つくられた▼細野豪志環境相が先日、初めて訪れ、一角に立つ慰霊碑に手を合わせた。その後、特別措置法に基づく水俣病未認定患者の救済申請に期限を設ける問題で、被害者団体と面会した。団体側が反対する早期締め切りは否定したが期限設定は理解してほしいと繰り返した▼帰京した環境相はきのうの記者会見で、7月末を申請期限にすると発表した。政府が3月末期限と考えていた当初案からは譲歩した。しかし救済に区切りをつけ、福祉対策で対応すれば事足りるとの本音ものぞく▼一昨年5月に熊本、鹿児島、新潟3県で受け付けが始まった救済の申請者は約5万人に上る。政府が予測したのは3万人だ。今まで表に出なかった潜在患者らがいかに多数存在するかを物語る証拠だろう▼期限を区切れば、多くの患者らが申請できずに取り残されかねない。水俣病の根深さは、公式確認から半世紀がたった今日でさえ差別や偏見がなお残っているからだ。行政側の都合で設けた期限を「最終決着点」としていいものか▼水俣湾の慰霊碑に納められた名簿に載せられているのは、実際の犠牲者のほんの一部にすぎない。多くの人が名簿に名を刻めるような日が来るよう、国や自治体の息の長い取り組みが要る。

[京都新聞 2012年02月04日掲載]

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