凡語 京都新聞トップへ

自衛官の暴言

 「“黙れ”で一波乱沸く」。本紙の前身、京都日出新聞は1938(昭和13)年3月4日の1面で伝えた。国会で政府答弁に立った陸軍の佐藤賢了中佐が議員に対し「黙っておれ」と一喝した事件である▼国家総動員法案の審議だった。日本は前年に中国との戦争に突入。民間企業に武器を作らせるなどの総力戦体制構築を急いだが、自由主義者の議員が強く反対した▼中佐は回顧録で「政界も財界も世間一般も、どうしてこの情勢、気持ちを分かってくれないのか。憤慨に堪えなかった」と本音を語っている▼自衛隊3等空佐が民進党の小西洋之参院議員に「おまえは国民の敵だ」などと暴言を吐いた。小西議員は自衛隊のイラク日報問題を追及していた▼不気味さを感じるのは、その経緯だ。小西議員によると、路上で同議員に遭遇した空佐は、誰何(すいか)し、自分の身分を明かした上で「気持ち悪い」などと罵倒した。テロリストを思わせる振るまいといえば、言い過ぎか▼武力所持を負託された組織の幹部が、国民の代表に敵意をむき出しにした。自衛隊トップは遺憾の意を示したが、小野寺五典防衛相は一時、(3佐も)「国民の一人で、思うことはあるだろう」とかばうような発言もした。敵意が自らに向くことは永遠にない、とでも思っているのだろうか。

[京都新聞 2018年04月21日掲載]

バックナンバー


凡語 書き写し
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)