残暑が続く夜の街角で「アオマツムシ」が鳴き始めた。明治中期に中国から来たとされる移入種だが、異国の鳴き声が秋の涼感を醸し出している▼アオマツムシに限らずさまざまな移入種が近年、日本に定着した。中にはやっかいな存在もある。毒を持つ「セアカゴケグモ」もその一つ。8月末には、平城遷都1300年祭が開かれている奈良市の平城宮跡で見つかった▼このクモが日本で最初に確認されたのは1995年。大阪府高石市や近隣の各市で次々に発見された。原産地のオーストラリアでは毎年多くの人がかまれるだけに、一時は大騒ぎになった▼当時、大阪南部へ取材に行ったことがある。クモが繁殖していた現場は、国道沿いの何の変哲もない大型スーパーの駐車場。ひっきりなしに通る車を見て、「京都へも、まもなく侵入して来そうだ」と危機感を持った▼京都では2005年以降、府南部を中心に生息が報告されている。京都市では昨年末、伏見区の伏見桃山城運動公園などで見つかり、多数の卵嚢(らんのう)が採取された。府生活衛生課によると、この夏は猛暑のためか、発見報告は今のところ少ないという▼セアカゴケグモは、国が駆除対象の特定外来生物にリストアップしている。しかし、体長約1センチの小さなクモを根絶させることはかなり難しい。黒色で背中に赤い斑紋があるクモを見かけたら、素手で触らないなど自衛策が欠かせない。
[京都新聞 2010年09月06日掲載] |