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(2)素敵な関係

映画祭、日本の魅力たっぷり 佐野惠子 
「日本コネクション」開催中は連日、会場に多くの日本映画ファンがつめかけた(提供)

 先日、ドイツで日本映画を見る機会に恵まれた。日本では映画館で映画を見る人が減り、存続が危ぶまれていると聞く。現に京都でも老舗の映画館がここ数年で4館も閉館している。寂しいかぎりだ。

 海外で、日本映画のみを扱う映画祭があることをご存じだろうか。毎年4月にフランクフルトのウォルフゲーテ大学で開かれる「日本コネクション」である。人気映画からデジタルの短編、ドキュメンタリー、レトロな実験映画など多様な日本映画を一堂に集め、世界最大規模で上映しているという。今年は10周年の節目となるそうだ。

 映画上映のほか、日本の文化や芸術を紹介するイベントも連日繰り広げている。茶道、香道、琴や三味線、太鼓の演奏や、剣道などの伝統的なプログラムから、人形劇やカラオケ、コスプレなど現代日本を紹介するイベントまである。面白かったのはドイツ人指圧師による指圧まで体験できることだ。

 日本人による企画かと思いきや、ドイツ人が企画したものだという。10年前に数人の日本映画ファンが集まり、10本ほどを上映する同好会的なものだった。今では長編、短編を含め160本もの映画を上映。総観客動員数は4日間で1万7千人を超え、連日会場が人で埋まる。

 驚いたのは、この映画祭の運営スタッフ300人全員がボランティアであること。年齢、性別を問わず一般のドイツ人たちが、映画祭を支えている。会社員、エンジニア、年金生活者、大学生−と、日本に関心のあるさまざまな人々が集まって作り上げていて、どの人もスタッフとして誇りを持ち、そして何より楽しんでいる。

 そしてもう一つこの映画祭を支えているのがスポンサー。そのほとんどがドイツの企業だ。スポンサーの一つメッラー銀行のヴィースホイご夫妻から興味深いお話を伺った。「毎年毎年大きく成長していく彼らの姿を見て、とてもうれしく思う」と。スポンサーは単に資金提供だけではなく、彼らを見守りながら応援していることが手に取るように分かる。素敵(すてき)な関係だ。

 2、3人の日本映画ファンから始まったこの催しが、日本とドイツを結ぶ架け橋となり、日本の魅力をドイツ人によってたっぷりと紹介されている。何と有り難いことだろう。

 京都は日本映画の発祥地。なのに、残念ながらこのことはほとんど知られていない。何か京都から発信出来ないだろうか。(京都センター主宰)

【2010年5月17日掲載】