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(7)クリスマス

家族への愛情を再確認 佐野惠子
レーマー広場のクリスマスマルクト。メリーゴーランドも出る(ドイツ・フランクフルト、筆者撮影)

 ドイツは今、クリスマス一色である。

 ショップのディスプレーも上手(うま)く展示してあり、見ているだけでもとても幸せな気分になる。ドイツ各地では、11月下旬からクリスマス前日まで、クリスマスマルクト(クリスマス市)が毎年開かれる。クリスマス前の4週間を「アドヴェント(待降節)」といい、この期間はどの町にもクリスマスマルクトが立ち、オーナメントなどの手工芸品から食品まで「ヒュッテ」と呼ばれる小屋の屋台で販売されている。

 外せないのが「グリューワイン」と呼ばれる赤ワインと香辛料で作られた温かいワイン。お店ごとに秘伝の味があり呑(の)み比べも楽しいが、寒い外で熱いこの一杯は、なんだか日本の甘酒を思い出す。

 この時期、家庭では、アドヴェント・クランツと呼ばれる飾りものを用意する。日本では玄関先などに吊(つ)るすクリスマスリースが馴染(なじ)み深いが、こちらではそれに似たタイプを卓上で飾る。4本のキャンドルが付いているのが特徴で、毎日曜ごとに1本ずつ火を灯(とも)していき、4週目の日曜日には4本のキャンドルすべてに火を灯す。ドイツ人たちは、気持ちも徐々に盛り上がると言うが、日本の「もういくつ寝るとお正月」のフレーズを思い出した。

 この楽しみ方、実は1925年から始まったとされる新しい習慣だ。しかし今ではドイツ全土に広まり、楽しみの一つとして定着している。飾り付けの品もドイツならではの手工芸品を多く見る事が出来る。前回ご紹介した「ザイフェン村」に代表される木工製品が多く見られ、世界中にファンが多いのは木工製品ならではの温かみだと思われる。

 シュヴィップボーゲンという飾りは、窓辺に飾り、夜になるとキャンドルを灯し、夫の帰りと待つ乙な物だ。日本でも馴染みのある、キャンドルの熱でプロペラが回るクリスマスピラミッドもドイツ製品である。

 日本と違いクリスマスは家族と過ごす人が大半で、24日の午後となれば、どんな街中でも人っ子一人いなくなるほど、皆家に帰る。クリスマスは宗教的な要素はもちろんあるが、家族への愛情を再確認できる場のようにも感じられる。

 木工細工の温かみは家族の温かさと共通するものがあり、人々を魅了してやまない。私も祖父母、両親に感謝を伝えたい。今年のクリスマスは、家族と団欒(だんらん)はいかがだろう。よいクリスマスを。(京都センター主宰)

【2010年12月20日掲載】