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(10)助け合い精神

法律や健康相談できる組織 佐野惠子
フランクフルトは世界的にも有数な金融街で、欧州中央銀行もある。日本経済の影響が心配されている(筆者撮影)

 東日本大震災からはや1カ月が過ぎた。ドイツでも連日連夜リアルタイムで放送されていたので、誰もがテレビの前で固まっていた。この時、「津波」と言う言葉が世界共通語になっていたことを知った。

 通勤電車でも、知らないご婦人から「あなたは日本人ですか。家族やお友達は大丈夫ですか」とか「祖国が被害に遭ってつらいだろう」と多くの方々から声をかけていただき、心から日本を心配してくださっていることを知った。いち早く自分たちで出来る事はないかと義援金の申し出や、住む場所がない方には自分の家を提供したいと電話をくださる方もあり、ドイツ人の温かさに今まで経験したことがない感激が湧いた。

 ドイツでは、ボランティアや寄付などの行為が日常的で、特別なこととは受け止められていない。助け合い精神がこの国では根付いている。最近知り合った「ラインマイン友の会」というフランクフルトを中心に活動されている組織をご紹介したい。

 この団体は2002年社団法人として発足、04年に共益法人となり、医療や介護ではカバーできないことをサポートする日本人の互助組織である。会員数90人余り、現在では、デュッセルドルフやハンブルク、シュツットガルトなどでも同様の組織ができて、連携を模索し始めている。

 異国の地で年を重ねていくといろいろな不安が出てくる。法律的なこと、健康のこと、日常的なこと…。相談できる組織が身近にあれば、どれだけ精神的にも助かることであろう。ドイツは福祉も充実しているが、日本人同士で相談したいこともあるはずである。

 会には、ドイツと日本の医療担当、カウンセリング、年金問題や死亡時などの法律・税制の担当がいて、講演会やセミナー、読書会、ハイキング、お花見会などのイベントもあり、定期的に会報も発行している。

 日本でこのような会を私は知らないが、大変有意義だと感じた。日本にいたとき、私自身、祖父母の介護を長年続けられたのは、近所の方々や主治医、ヘルパーさんのご協力があったからで、とても一人では仕事を持ちながらできることではなかった。

 今更ながら日本でもドイツでも、一人ではないのだ、どなたかに支えられて今を生きているのだとありがたく思う。助け合い精神、今回の震災であらためて重要なことだと思った。(京都センター主宰)

【2011年4月18日掲載】