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(5・完)大学のまち

学生の輝き 発展の原動力
松谷さん(手前)を講師役に、健康づくり講座で筋力アップの体操に取り組む地元住民=草津市・玉川公民館

 「無理せず、ちょっと痛いくらいでいいですよ」。リハビリ用のゴムバンド「セラバンド」を使って体操をするお年寄りに、松谷健司さん(24)が声をかけた。松谷さんは、草津市の立命館大びわこ・くさつキャンパス(BKC)でスポーツ健康科学を学ぶ大学院生。草津市玉川公民館の健康作り講座で講師を務めている。

 講座の発端は、お年寄りの効果的な筋機能強化法を探るためにBKCで行われていた実験だった。参加していた住民たちの好評を呼び、地元からの要望を受け今年から公民館講座としてスタートした。

 週に数日、お年寄りらと一緒に汗を流す松谷さんは「あまり交流する機会がなかった地元の人たちと関わるきっかけになった。まちにも親近感を持つようになった」と話す。大学が町にすっかり溶け込み、住民との交流も活発さを増している。

 1989年に龍谷大瀬田キャンパス(大津市)、94年にはBKCが開学し、県内の大学生は飛躍的に増えた。県の調査によると、2009年度の人口10万人当たりの大学生数は2648人。京都府(6080人)と東京都(5564人)に続き、全国3位に入る「大学のまち」だ。

 地域の防犯パトロールや清掃活動など、住民が学生と一緒に取り組む活動も多い。また学生らしい視点を生かして、地元の会社と連携しながら商品開発に取り組むケースも目立っている。

 県立大(彦根市)では、学生が喜多酒造(東近江市)と協力し、日本酒の醸造を手伝う掛け米の生産を行うプロジェクトが進行中だ。またBKCの学生サークルが草津市の特産アオバナを原料にしたチーズケーキを考案、野洲市の洋菓子店に商品化を依頼した。

 洋菓子店のオーナーシェフの薄永金侍さん(56)は「自分たちとは違う若者の感性を生かしたものができると思い、協力を決めた。互いにやりがいを感じながら取り組んでいる」と話す。学生のアイデアとプロの技術が合わさった初の商品は完成目前だ。

 今春のJR西日本のダイヤ改正で、BKCの最寄り駅である南草津駅に新快速列車が停まるようになった。約1万8千人の学生を抱えるBKCの存在が、長年にわたる地元の活動を力強く後押しした。

 多くの若者が集まり、多彩な活動が地域を活性化していく「大学のまち」。今後も町づくりの大きな原動力になりそうだ。(おわり)

伸び率21%は全国3位

 県内の大学生増加率 県の調査によると、大学生の人数は2000年の2万7832人から、10年には3万3661人にまで増加した。10年間の伸び率約21%は全国3位の数字だった。1位は39%の群馬県、2位は26%の大分県。

【2011年7月24日掲載】