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(1)雇用

企業ニーズと人材 橋渡し
「滋賀学生就職フェア2011」のブースで、企業担当者から説明を聞く学生たち(草津市・クサツエストピアホテル)

 10月中旬。来春に卒業を控えたリクルートスーツ姿の大学生や30代の男女ら約400人が集まった。場所は東京や大阪といった大都市ではなく、JR草津駅前のホテル。滋賀労働局や県、経済団体などでつくるヤングジョブセンター滋賀(大津市)の合同企業説明会「滋賀学生就職フェア2011」が開かれ、県内の中小企業約80社がブースを構えた。

 人だかりができる人気企業もあり、熱い視線を送りながら列に並ぶ若者もいた。同センターの山田栄藏所長(62)は、「近年は、地元で就職して私生活を充実させたいと考える傾向が強くなっている」と分析する。

 若者の雇用情勢は厳しい状況が続く。今年9月の全国の失業率は4・1%だったが、年代別にみると15〜24歳の若年層が7・2%と他世代と比べてひときわ高かった。

 昨年6月、草津市に社会人教育と企業紹介を同時に取り組む「滋賀の“三方よし”人づくり推進センター」が発足した。30代までの求職者を対象にマナー講習やグループ討論などの研修を実施。県内の協力企業約600社に即戦力の人材として紹介する。1期生45人のうち37人が、2期生は18人全員が就職した。現在は3期生44人が実習を続ける。

 3期生の森田馨さん(32)=近江八幡市=は大学卒業後、アルバイトしながら司法試験の受験を続けたが、経済的な理由で断念。同センターで実習を積み、輸送機器メーカーから内定を得た。「30代で正社員、しかも法律の勉強が生かせる職場があるとは思わなかった」と笑顔を見せた。内田幸雄センター長(63)も「会社の中核を担う人材を得たい企業ニーズと、求職者の能力が合致したケース」と話す。

 一方で、県内で推定7800人とされる引きこもりやニートへの支援も不可欠だ。滋賀県地域若者サポートステーション(大津市)では希望者向けの職場体験など、今年から県独自の取り組みを始めた。

 優れた人材を探す企業と仕事を求める求職者たち。官民あげての取り組みが活発化しているが、いかに両者をマッチングできるかが課題になる。人づくり推進センターの内田センター長は「限られた人数しか支援できていないのが実情。職業観や就労意識をはぐくむ職業教育など、社会システム全体を見直す必要があるのでは」と感じている。

 年間連載「ほんまの近江」第4部は「働」をテーマに、地元産業や地域経済の現状などを探る。=5回掲載予定です

有効求職者 18カ月連続減

 県内の雇用情勢 滋賀労働局によると、9月末の有効求職者数は2万8919人で18カ月連続の減少。有効求人倍率は0.62倍で、前月を0.01ポイント下回った。3年前のリーマン・ショック後の景気後退からは回復傾向にあるが、依然として厳しい雇用情勢が続いている。

【2011年11月25日掲載】