京都新聞TOP > Ki-Yan Experience.~キーヤン・エクスペリエンス~ 京都まちなかアート巡り
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咲きそろう京都の四季(京都市左京区)

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 疏水を臨むテラス席の向こうに京都市美術館、平安神宮の鳥居がそびえる。緑多い岡崎らしい落ち着いた雰囲気のなか、階段を上ってエントランスのガラスの扉を入ると、包み込まれるような大輪の牡丹の壁画が出迎える。壁画を手掛けたキーヤンこと木村英輝さんは「平安神宮の神苑の花が、鳥居を通って、ここまでつながっているイメージ。世界中から来る観光客を京都の花で迎えたかった」という。春の牡丹、夏の芙蓉、秋は糸菊、冬に椿と、四季それぞれの京都の花をモチーフに選び、華やかな色使いで壁や天井に描き上げた。代表取締役社長の中川泉さんは「キーヤン先生の壁画は、日本の伝統的な文化に魅せられて海外から来られたゲストにもすごくポジティブに受け入れられます」と話す。

 

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 壁画が生まれたきっかけは、偶然の出会いだった。中川さんは父の急逝により、18年間暮らしていたアメリカ・サンフランシスコから日本に戻り、2009年に経営を引き継ぐ。当時、「車いすでも一人で宿泊できますか?」という問い合わせが増えてきたといい、2014年に車いすに対応したバリアフリートイレの整備などリニューアルを実施。その際、設計上の都合から1階フロアに白い壁が出来てしまった。「美術館が多い岡崎の地なんだから、せっかくなら壁もアートに」と、たまたま通りがかった京都の町中で見かけたキーヤンの壁画に一目ぼれした中川さんが、制作を依頼。チーム・キーヤンをはじめ、中川さんの友人や知人も制作に参加し約5日間という短期間で仕上げたという。

 

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 キーヤンの壁画に負けず、中川さん自身の経歴もかなりロックだ。同志社大学を卒業後、サンフランシスコに渡り、アメリカ国内で最大規模と言われる美術大学「アカデミー・オブ・アート大学」で、世界中から集まったアートを志す学生とともに、アートの基礎やインテリアデザインを学んだ。卒業後は、アメリカ屈指の高級百貨店「ニーマン・マーカス」で、ハリウッド俳優などセレブリティを顧客とするパーソナルショッピング、日本でいう外商の仕事を経験してきた。中川さんは「アメリカでアートを学んだことで、日本の着物や帯、型紙のパターンが、アーツアンドクラフツやアールヌーヴォーなど世界のアートにとても大きな影響を与えていることを深く知りました。キーヤン先生の壁画は、その流れにつながるものだと確信しています」と語る。

 

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 国内外から京都を訪れる観光客が増え続ける今、旧京都会館が生まれ変わったロームシアター京都の整備をはじめ、岡崎の地も変化が生まれ始めている。京都トラベラーズ・インでも新たなキーヤンの壁画の制作を計画しているという。中川さんは「岡崎には社寺仏閣をはじめ、庭園や美術館など、伝統、自然、アートに囲まれた日常がある。岡崎の日常を体験してもらえるよう、これからも変化しつづけたい」と話している。

 

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京都でもここにしかない、オリジナルのキーヤンルーム。ロックな夢が見れるかも。

 

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キーヤンのイチ押し、バリアフリートイレのダリアの壁画。鏡の前に立つと、背後に大輪が広がる仕掛けだ。




【京都トラベラーズ・イン】
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町91-2
TEL : 075・771・0225
京都トラベラーズ・インHP⇒http://www.k-travelersinn.com/
キーヤンの壁画は1階のカフェグリーンボックスに描かれている。カフェ利用は宿泊者以外でも可能。

【2016年09月29日掲載】