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(9)近江鉄道多賀線(滋賀県)=2・5キロ

古社門前、風格の家並み
【写真上】多賀大社前駅を発車する電車(滋賀県多賀町)
【写真下】多賀大社前駅と大鳥居

 梅雨の晴れ間、滋賀県の近江鉄道多賀線を訪ねた。JR東海道線の米原駅から彦根を経てJR草津線貴生川(きぶかわ)駅まで、本線が湖東地方を縦断する。その途中駅高宮(たかみや)で分かれ、多賀町の多賀大社前駅まで2・5キロを結ぶのが多賀線だ。

 米原駅で土・日限定の1日乗車券を購入し、彦根行き、八日市行きと乗り継いだ。途中下車した彦根駅東口周辺の広い構内には、客車のほか、機関車や貨車も留め置いてある。駅の片隅に立つ鉄道資料館「近江鉄道ミュージアム」では月に2、3日、鉄道資料の展示やグッズの販売、電気機関車の運転席開放などがあるようだが、この日は閉まっていた。

 彦根駅から数分の高宮駅に、錆(さ)びた貨車が数両放置してある。運転士の話では、かつては多賀線沿線のビール工場やセメント工場への専用線が敷かれ、貨物列車がJR線にも乗り入れていたが、いま機関車と貨車は、線路に敷くバラストを運ぶだけになったという。

 多賀線は1時間に1、2便の運行があり、米原駅からの直通も入っている。この日は高宮駅始発の多賀大社前行きに乗った。2両編成のワンマンカーに乗客は数人。東海道新幹線と名神高速道路をくぐり、田んぼや工場の間を抜け、中間のスクリーン駅を経て5分で終着駅に入った。

 コミュニティハウスを併設する多賀大社前駅は、無人の大きな駅舎。窓口のシャッターには早朝に駅員を配置とあるが、きびしい経営状況のため、終日無人にするというビラが張ってあった。

 駅前の大鳥居から約800メートルが、「お多賀さん」と親しまれる多賀大社への参道「絵馬通り」である。道路両側は風格のある古い家並みが続き、茅葺(かやぶ)きの土産物屋や国の有形文化財に登録された料理旅館もある。

 大社入り口の案内によると、伊邪那岐(いざなぎ)、伊邪那美(いざなみ)の2神を祀(まつ)り、『古事記』に「淡海の多賀に御鎮座」と記されているという由緒ある神社だ。境内には提灯(ちょうちん)を吊(つる)す高いポールが立ち並び、8月3〜5日の夜に開かれる万灯祭の準備が進められていた。献灯の数は十数段、1万2千に及ぶという。

(次回は8月23日掲載予定です)

近江鉄道多賀線

【2010年7月26日掲載】