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サバのみそ煮 白みそをブレンド 京風に

瓢亭 高橋義弘さんに習う
白みそで煮ると、こんなやさしい色に。煮汁も下処理をしているため、魚の臭みがない。食べる直前に温め直して
 元禄時代にさかのぼる懐石料理の老舗だ。頼山陽や山県有朋、湯川秀樹らに愛され、皇族にも料理を作る。高橋義弘さん(34)は十四代目英一さんの長男で、後継者にあたる。
 幼いころから、ものづくりが好き。卵を焼いたり、粘土細工なども得意だった。小学校の作文で「料理人になる」と書き、跡を継ぐのは当たり前と思っていた。
 だが大学進学は東京に。「一度この環境や京都から離れて、いろんなものを見たかった」。東京で初めて食べたものの一つがサバのみそ煮。「お弁当屋さんのものでおいしかった。子ども時代は苦手な食べ物が多く、好きな食べ物といえば焼き魚とハンバーグでした」と笑う。
 卒業後、金沢の料亭「つる幸」で修業を重ねた。京都に帰り、煮方、焼き場などを経て、今は造りを引く向板(むこういた)。調理場に立つだけでなく、料理教室の開催や講演会、小学校での食育指導、料理組合の活動など幅広い。
 学生時代を思い起こさせるサバのみそ煮は、まかない料理として健在だ。いつもは田舎みそだけで作るが、今回は京風に白みそを加えた。「みそを混ぜ合わせることでおいしくなる。水と酒は鍋に入れてひたひたよりちょっと上で、煮詰めながらお好みの味に」
 ハレの料亭料理と違い、家庭の料理は「子どもたちやふだんの自分自身の体をつくり、支えるもの。だからこそ栄養バランスが大事」と話す。「おふくろの味」が持つ意味も懐かしさだけではないと感じている。
 「例えば今回、ショウガはサバのくさみを取るためですが、実は脂のある腹側を食べた時に口をさっぱりさせる効果もある。そんな作り手の思いを知らず知らず気付くのも、毎日食べる家庭料理だと思います」
 京都には有数の料理の達人がいます。日本、フランス、イタリア、中華の各料理と、和・洋菓子の計六つの分野を代表する達人に、家庭でできる簡単なおかずとおやつを考えてもらいます。

レシピ

写真A(上)と写真B
 【材料(4人分)】サバ1本 500グラム(4切分)、ショウガ30グラム、里芋4個、水600ミリリットル、酒200ミリリットル、砂糖大さじ2、白みそ80グラム、田舎みそ20−30グラム、濃口しょうゆ小さじ1
 【作り方】
 (1)サバは表面を包丁で軽くこすり、うろこや汚れを流水で洗い流す。首の付け根から垂直に頭を切り落としてから腹を割き、エラと内臓を取り出す。流水で腹の血合いや汚れを丁寧に洗い流し、しっかりと水気をふき取る。三枚か二枚におろし、片身をそれぞれ半分に切る。皮目へ浅く斜めに切れ目を入れる。
 (2)鍋に湯を沸かし、サバをさっとくぐらせてから冷水にとり、血合いや汚れを洗い流す。骨の部分にぬるぬるした汚れがあるので入念に=写真A。水気をしっかりふき取る。
 (3)ショウガは皮をむき、薄く切る。里芋は皮をむく。
 (4)鍋底にサバを皮を上にして並べ、すき間にショウガと里芋を埋める=写真B。水と酒を加えて火にかけ、沸騰してきたら中火にしアクを取る。落としぶたをし、里芋に竹ぐしがすっと通るくらいになるまで煮る。
(5)砂糖を全体に加えてなじませる。ボウルに2種類のみそを混ぜ合わせ、鍋の煮汁を少量加えて軟らかくしてから回し入れる。みそが全体に混ざったら味を見て、好みでしょうゆ、砂糖、みそを加える。落としぶたをし、弱いめの中火でコトコト5分間煮て出来上がり。

ワンポイント

「一度作ってみるのが大事。水や酒の量を加減しながら自分のレシピにしていってください」と高橋義弘さん
 サバは切り身でも構いません。まるまる太り、背や腹に光沢があるものを。くさみを取るため、(2)の手順は必ず踏んでください。ショウガと里芋をサバのすき間に埋めるのは味を均一化するため。調味料を加えた後は、そっと置いてください。煮汁の対流で自然に混ざります。里芋は煮汁へのとろみ効果も担っていますが、調味料を加えた後は煮崩れません。
【作ってみました】
 切り身で挑戦。だしも引けぬ私ですが、やさしい上品な味に。わが腕とは思えぬ逸品になりました。
(2008年10月9日、京都新聞夕刊)

注意

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