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牛肉の赤ワイン煮ブルゴーニュ風 煮込むだけなのに奥深く 修業時代に出会った本物の味

ボルドー 大溝隆夫さんに習う
味付けは赤ワインと肉に施した塩、コショウだけ。好みでパセリを散らして
 「この料理は、修業先のフランスで『こんな料理ができるのか』と驚いた思い出深いもの。赤ワインで煮込むだけで簡単に作れるシチューです」とオーナーシェフの大溝隆夫さん(60)は話す。
 「おいしいものを食べたい」と料理を作る少年だった。京都市内の老舗フランス料理店で修業を重ねた後「本物の味を知りたい」と一九七一年に渡仏。レストランやホテルで研さんを積んだ。
 その時にこの料理に出会った。「当時、日本ではデミグラスソースで作るシチューしかなく、赤ワインも高級で、料理に使うことはありませんでした。このソースは日本のボテボテした味ではなく、軽く、奥深かった」
 帰国して七八年に開業。この赤ワイン煮もメニューに並べた。「時代とともにフランス料理は変化しているので今でこそ店では売りませんが、当時を象徴する定番的な料理です」と振り返る。
 そのころ、ウサギなどのジビエ(狩猟肉)や生ハーブといった食材が簡単に手に入らず苦労した。「京都フランス料理研究会」を結成し、食材を共同購入できるようルートを開拓。「本物の味」への思いは着実に届き、各国の首相や国賓クラスの要人、故桑原武夫氏や故河合隼雄氏ら文化人の利用も多い。
 フランス食文化の普及にも力を注ぐ。フランス料理人でつくる「トック・ブランシュ国際倶楽部」日本支部理事や国際料理コンテストの審査員を務める。二〇〇〇年度には京都府「現代の名工」、〇三年には関西の料理人として当時初の仏の勲章「農事功労章シュヴァリエ」を受賞した。
 東京出店の誘いもあるが、京都にこだわる。「自分の目が届くなかで本物の料理を作る。それだけです」とにっこり笑った。

レシピ

写真A(上)と写真B
 【材料(4人分)】牛肉煮込み用12切れ(400グラム)、小タマネギ8個、マッシュルーム8個、塊ベーコン120グラム、赤ワイン300ミリリットル、小麦粉10グラム、塩・コショウ少々、サラダ油適宜
 【作り方】
 (1)ベーコンを1.5センチ角に切り、煮込み用鍋に入れ、ほんの少しのサラダ油をたらした後、火にかける。小タマネギ、半分に切ったマッシュルームを加えてざっといため、火を止める。タマネギで代用してもよいが、その場合はしんを残してくし形に切る=写真A。
 (2)牛肉に塩、コショウし、手でもむ。小麦粉を入れ、粉っぽさがなくなるまで牛肉にからませる。
 (3)フライパンにサラダ油を多めにひき十分に熱した後、牛肉を入れ、断面全体にこんがり焼き色がつくまで焼き=写真B、(1)の鍋に入れる。
 (4)鍋に赤ワインを入れ、いったん強火で煮立てた後、ふたをして弱火でコトコトと30分−1時間程度煮る。
 (5)牛肉に竹ぐしを刺し、軟らかくなったら出来上がり。

ワンポイント

「赤ワインだけでこんな味がでることを知ってほしい」と話す大溝隆夫さん
牛肉に小麦粉をまぶすのはソースにとろみを出すためで、フライパンが小さい場合、何度か分けて焼いて下さい。小麦粉がはがれると底が焦げます。鍋はワインを入れて具材がひたひたになる深さが最適。煮詰まったら水を足して。ベーコンは薄切りも可。タマネギのしんを残して切るのはバラバラにしないためです。
【作ってみました】
 牛肉を弱火でじわじわ焼いたため、小麦粉がはがれてしまった。煙が立つほど熱した油で、怖がらず一気に焼くのがコツと痛感。
(2008年10月23日、京都新聞夕刊)

注意

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