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ナポリタン 野菜のだしをめんに含ませる 愛情のひと手間伝えたい

イル ギオットーネ 笹島保弘さんに習う
オリーブオイルはできればエキストラバージンオイルを。ピーマンも今回のように火をよく通せば臭みも出ない
 京都と東京に計三店のイタリア料理店を構える笹島保弘さん(44)は全国区で人気のオーナーシェフ。万願寺とうがらしなど、京都の素材を積極的に使い、洗練されたイタリア料理を作る。
 四十代に入ってから、料理講習会やフードイベントといった活動も積極的に始めた。「十−二十代はがむしゃらに吸収し、三十代は家族よりも、自分の形を優先して確立しました。(四十二歳の)厄年を迎えた時、同じ『やく』でも人に役に立つ年ととらえ、私利ではなく、公利のために何かしようと考えました」
 大事にしているのが講習会。食育の大事さが指摘されている現代で、子育て中の家族の食卓に、手作りの料理が並ぶのが最も効果的と考えているからだ。
 だが働く親は忙しく、ブイヨンを野菜や肉から丹念に取る時間が取りにくい。インスタント品を使いがちだが、「批判することはないんです。ただ既製品をそのまま使わず家族のことを思いながら、ひと手間かけて作ってほしい。そのひと手間のコツを伝えるのが僕ら料理人やと思います」
 今回のナポリタンも家庭になじみのあるケチャップをあえて使った。「角があるケチャップの味を同量の牛乳を加えることで柔らかくします」
 調味料も塩だけで、蒸し煮をして野菜からだしを取る。「マッシュルーム、タマネギ、ハムと、いずれもおいしい即席のだしが出ますよ。切り落としたマッシュルームの石突きもスパゲティをゆでる湯に入れてください」。ゆで汁はいわばそば湯と同じ。「フライパンでめんと具を煮る際、塩気が足りなければ、水の代わりに使ってください。うま味の相乗効果が狙えます」
 最後にオリーブオイルを使うのも理にかなっている。「オリーブオイルはしょうゆと同様、グルタミン酸を多く含んでます。日本のしょうゆ感覚で垂らして食べてください」

レシピ

写真A(上)と写真B
【材料(2人分)】ピーマン3個、タマネギ1/4個、ロースハム80グラム、マッシュルーム4個、スパゲティ(1.6ミリ)160グラム、ケチャップ50ミリリットル、牛乳50ミリリットル、エキストラバージンオリーブオイル
 【作り方】
 (1)深め鍋に多めに水を入れ、水分量に対し1%の塩を入れ、沸かす。
 (2)タマネギは薄切りする。ピーマンは縦半分に切り、種とにがみの出る白い部分を取りのぞき、へたと先の部分を交互に重ねてから軽く手で押さえて3ミリぐらいに切る。マッシュルームも3ミリの厚さに切り、ハムは短冊に切る。
 (3)ボウルにケチャップを入れ、同量の牛乳を少しずつ加え混ぜ合わせる。
 (4)フライパンを火にかけて少し温まったら、オリーブオイルを大さじ1、2杯入れ、オイルが熱くならないうちにハムを入れる。ハムに油がからまったら中火に落とし、すべての野菜と塩(分量外)とゆで汁少々を入れ、ふたをして、ことこと蒸し煮する。タマネギに火が通ったら、いったん火から下ろす。
 (5)スパゲティを束にして2度ひねり放射線状の形にしながら鍋に入れてゆでる。ひっつかないようにしばらくかき混ぜ、再沸騰したらその後は触らずことことゆでる=写真A。
 (6)フライパンを再び火にかけ、水を約50ミリリットル加える。真ん中部分まで沸いたら、スパゲティを早めに取り出し、フライパンに移し、だしを吸わせるように煮る=写真B。
 (7)フライパンを傾け、水気がなくなったら火を止め、ケチャップをあえる。皿に盛り、好みで粉チーズやオリーブオイルを。

ワンポイント

今秋に京都で2店目を出した。「25年近く得た経験を元に『自分はなぜイタリア料理を好きになったのか』と原点回帰する位置づけの店です」と笹島保弘さん
 パスタをゆでる水に塩を1%加えるのは、グルテンが溶け出すのを防ぐため。めんが引き締まり、ぷりぷりします。逆に溶け出してめんがやせると、ゆで汁が白く濁るので注意を。目安は味見をしてお吸い物よりやや薄味。火加減もぐらぐらではなく、静かにコトコトです。
【作ってみました】
 めんを野菜のだしで煮るとは目からうろこ。でもめんをつかむトングがなく、菜ばしではつるつる滑る…。かなり焦りました。

注意

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