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サツマイモのきんとん 白あん加え、のど越し滑らか 失敗重ねて味を見つける

塩芳軒 家昌昭さんに習う
氷餅や粉砂糖を飾れば、雪景色に。白あんを包まない茶きん絞りも手。より素朴な味わいになる
 西陣に墨染めののれんがどっしりとかかる一軒の町家が目を引く。京菓子店「塩芳軒」。作業場では、職人が淡い桃色の花の干菓子を作っていた。
 家昌昭さんは四代目店主。一八八二(明治十五)年創業の同店のお菓子は、繊細で上品な上生菓子や干菓子で知られ、多くの茶席に彩りを添えてきた。今回教わったのは本業とは違う日常のおやつ。「サツマイモはほぼ年中入り、作りやすい素材。私自身も好きです」
 鳴門金時を使った。ほくほくしてイモ自体でも楽しめるが、上白糖や白あんを混ぜる。「砂糖は水分が多く含むため、生地が柔らかくなります。あんも加えるとのど越しがより滑らかに」。砂糖と白あんを混ぜて、火にかけて練るのは水分を調整するため。「熱を加えることでよりおいしくなります」
 白あんも手作りしたいが、一から作るには手間暇がかかる。でも、市販のあんは甘みが強すぎたり、水分が多くて軟らか過ぎると感じる時も−。「調整方法がありますよ」。(作り方参照)。覚えておくと便利だ。
 サツマイモをつぶす際、鍋やボウルを使わず、ぬれぶきんに包んで手で押しつぶす方法も理にかなう。「塊が残り、ぷつぷつとした食感が楽しめます。鍋やボウルは、ふきんと比べて生地が平らにならず、砂糖やあんが均等に混ざりません」
 老舗ののれんを守るだけでなく、京菓子協同組合副理事長を務め、技術指導や技能免許の問題作りなどを後進育成も担う。女優竹内結子さんが和菓子職人を演じたNHK連続テレビ小説「あすか」は同店がモデルで、この時も技術指導を担った。ドラマがきっかけに、和菓子職人を目指す女性が増えてきた。
 今回のきんとんは甘みを抑えた優しい味だ。同じ生地でそぼろも作れる。白あんがなければ、砂糖だけを加えた生地で作る茶きん絞りもお薦めだ。「初めから成功するより、失敗せんとあかんのです。二度、三度失敗して、そのたびに原因が見える。そうやって自分の味を作って下さい」

レシピ

上から写真A、B、C
 【材料(15〜20個分)】サツマイモ2本(600グラム)、上白糖30グラム、白あんの量はワンポイント参照。
 【作り方】
 (1)洗ったサツマイモをはしがすっと刺さるまで約30分間蒸す(大きい場合は半分に切って蒸す)。
 (2)サツマイモの両端を切り落とし、熱い状態で皮をむく。ひげやくぼみは、つまようじで丹念に取る。
 (3)台にぬれぶきんを広げ、サツマイモを包むようにしながら手で押して荒くつぶす。上白糖を加えてもむように混ぜる=写真A。白あん30グラムも加え同様に混ぜる。
 (4)生地を鍋に入れ、水50ミリリットルを加えて弱火にかける。しゃもじで練り、耳たぶよりやや堅めになったら、火から下ろす。ラップに包み、あら熱を取る。
 (5)生地を直径4センチに丸めた後、手で軽く押して直径6センチ、厚さ1センチにする。直径3センチに丸めた白あんを中心に置き、押し込めるようにしながら生地で包む。ぬらして硬く絞ったハンカチの中央に置き、ねじるように絞り、親指、中指、人さし指で絞り口を軽く押さえる=写真B。
 そぼろは、ぬらしたふるい(ステンレス製ざるでも可)に通して作る。直径3センチに丸めた白あんの端から先の細いはしでそぼろを少しずつ押しながら付ける。ざるの場合は作るたびに、ついたあんを取り払う。
 (あんの甘さと堅さの調節法)
 あんを丸め、ぬれぶきんに包み、みつを絞り出す=写真C。鍋に入れ、水を少し加えて、弱火でこがさぬように生地と同じ堅さになるまで練る。常温に冷ます。

ワンポイント

和菓子を作るとなると色や季節にこだわりがち。「食べたくなるような優しいお菓子を作ってください」と家さん
 生地に混ぜる白あんの量はサツマイモの重さに対して5−10%。今回は600グラムに対し30グラムで作りました。蒸したサツマイモを少し食べて甘みを確認し、砂糖の量を加減してください。しんにするあんの量は1個に対し10グラムです。サツマイモをゆでたり、蒸し過ぎると、いずれも水っぽくなり、おすすめできません。
<作ってみました>
 市販の白あん探しに手間取った。複数のスーパーに問い合わせ、手に入れたのは粉末タイプ。通販や和菓子店に相談という手も。 (2008年12月11日、京都新聞夕刊)

注意

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