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塩と素材のうまみ 重ねて

段階つけて濃い味わいに
スダチの代わりにライムやゆずでも。熱々を召し上がれ
 残暑が厳しいですが、食卓では季節を先取りして、秋の味覚を楽しんで見ませんか?「サケにスダチを飾るという、秋を感じる料理です」と笹島保弘さん。今回の料理は、硫酸紙を使って魚介類を蒸し焼きにするイタリア料理「カルトッチョ」をアレンジし、アルミホイルを使う。
 使う調味料は塩とオリーブオイルだけ。調理時間も10分足らずなのに、さまざまなだしが重なり合い、濃厚で複雑な味付けにできあがり、びっくりする。「それぞれの素材のうまみを一つずつ引き出し、それを重ねながら、仕上げていきます」
 フライパンでサケにさっと焼き目をつけるだけにとどめておくのは、最後にアルミホイルで蒸し焼きするため。「うまみの一つとなる焼き目をつけるのが狙いです。身の半分ぐらいに火が通ったら、取り出しましょう」。サケを取り出した後、フライパンに油が残るが、だしが出ておいしいものなので捨てず、ホイルで包む時にサケにかけよう。ちなみにサケに香り付けに使ったユズも捨てず、アルミホイルで蒸し焼きする際に再度使おう。
 付け合わせのキノコとアサリも、一つずつ火を通して、うまみを出す。ニンニクの香り付けをしたオリーブオイルを使って、まず火を通すのはキノコ。「ひとつまみの塩と大さじ1の水を加え、ふたをして蒸し焼きします。これでキノコから水分が出てうまみとなる。同時にキノコがつやつやに仕上がります」
 この後、アサリと大さじ1の水を加え、再度ふたをして蒸し焼きする。「段階をつけたほうが、それぞれの素材のうまみが強まり、味が濃くなります」。
 シンプルな料理ゆえ、調味料を入れたくなるが、笹島さんは「ちょっと待った」をかける。「コショウなどを入れたい気持ちも分かりますが、アクセントになっても、味を構成しません。味を構成するのは塩とうまみ。それが最も分かるのがこの料理です」。アルミホイルでサケを包む際、サケの下にだし昆布を置くと、さらにおいしくなるそうだ。

レシピ【映像はこちら

写真A(上)と写真B
【材料1人分】生サケ切り身1枚(100グラム)、アサリ10個、生シイタケ2枚、シメジ1/2パック、ニンニク2かけ、水菜2枚、スダチ1個
【作り方】
(1)サケの皮を取り、全体に塩をふる。輪切りのスダチをサケの上にのせ、ひと晩おく。アサリは殻つきのままよく洗い、塩水に漬け、ひと晩おく。
(2)フライパンにオリーブオイル(分量外)を入れ、中火にかける。サケの両面にさっと焼き目をつける。
(3)別のフライパンにオリーブオイル(分量外)を入れ、荒く切ったニンニクを入れる。香りが出たらニンニクを取り除き、半分に切ったシイタケ、石づきを切り落としてほぐしたシメジを入れ、塩ひとつまみと水大さじ1を入れ、ふたをする。キノコの表面につやが出たら、アサリと水大さじ1を加え、再びふたをする。アサリの殻が半分開いたら火を止める。
(4)大きめに切ったアルミホイルにサケを置き、焼き目をつけた時の油をかける。アサリ、キノコをサケの四方を固める感覚で置き=写真A、だし汁を上からかける。サケの上に香り付けで使ったスダチを置き、手でちぎった水菜を散らす。エキストラバージンオイルを大さじ1かける。
(5)空気を残しながらふんわりとアルミホイルで包む(だしがもれないよう、端はしっかり折る)=写真B。フライパンに置き、弱火にかける。
(6)中身がこげないよう時折軽くゆすりながら、5〜6分たったら、包丁などでアルミホイルの一部を切り、アサリの殻が空いているかを確かめる。完全に殻が空いたら、エキストラバージンオイル(分量外)をたらしてできあがり。

ワンポイント

「海塩がお薦め。いろんな種類がありますが、自分の好みのものが必ずあるので探してみてください」と笹島さん
 魚はタイ、スズキなど白身魚がお薦め。カレイやヒラメはぶつ切りタイプを使うと骨からだしが出ます。アサリの代わりにホタテ、有頭エビ、イカの輪切りでも。うまみが強いキノコ類はエノキやエリンギでもおいしいです。ジャガイモやタマネギもOK。その場合、火が通るよう薄切りして対応してください。

<作ってみました>
 途中でオリーブオイルを入れるのを忘れてしまったが、それでも素材が持つ味の濃さにびっくりした。ご飯でもパスタにも合いそう。

注意

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