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坪倉由美の日々しましま

(3)ええンです
 いつのころからか、スカートを全くはかなくなりました。もともとスカートより断然パンツ党だったけど、出産後はパンツの方が動きやすく、楽ちんなので、ますますスカートの度合いが少なくなりました。スカートに付き物のストッキングをはくのも面倒です。普段ごぶさただと、スカートは短時間はいただけでも何だか足元がフワフワしてくたびれます。
 そう言えばまだ学生だったころ、パンツ党の私はよく男性に間違えられました。街中を歩いていておばあさんに「なあ、兄ちゃん、○○へ行くのはどっち?」と道を尋ねられたり、友だちと入った学生相手の食堂で私だけごはんが大盛り。
 若い男性に間違えられるのは、まあ、ええんです。夜、自転車に無灯火で乗っていて、おまわりさんに呼び止めらました。明らかに私を見て「ちょっとご主人」。今と違い、羞恥(しゅうち)心もたっぷりの若いころ。「ご主人」ってどうよ。わたしゃオッチャンかい。いたく傷つきました。  それでも喪服だけは何とかスカートで通していました。うちのタンスにぶら下がる唯一のスカート。それが三年位前に親類の葬式の受け付けをすることになり、長時間スカート着用の心地悪さに恐れをなし、パンツスーツに買い替えました。
 先日町内の長老が亡くなられ、例の黒のパンツスーツでお葬式に参列しました。葬儀会館の入り口あたりにたまたま立っていたら、見知らぬご夫人が「○○家の葬式は何階?」と、案内して当然という感じで私に聞かれました。今度は葬儀会社のスタッフに間違われました。ええンです。ええンです。オッチャンでさえなければ。
【2007年11月22日掲載】