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坪倉由美の日々しましま

(4)お弁当の楽しみ
 ほぼ毎朝、お弁当を三つ作ります。夫と息子と自分の。息子が中学生になる前は二人分でした。二つも三つも同じだとタカをくくっていたら、そうはいかない。成長期の中学生の男子はよく食べる。五十歳代周辺をウロウロする親の食欲とは倍に近い差があります。
 夫と二人分の時は卵焼きに焼き魚、そこに少し総菜風なものがあればよかったのに「朝から晩ご飯」的なおかず(鶏の空揚げ、豚のショウガ焼きなどなど)を一品は作らねばなりません。それなりに早起きしなければならないし面倒です。くたびれている時、これさえなけりゃとも思います。
 それでも、お昼になってほぼ同じ時間に、それぞれが場所も状況も違う中、同じおかずのお弁当を食べる。家族三人とも持ち場が違い、平日は会話もままならないけれど、ささやかなつながりを感じます。ここだけは一緒やんと思うのです。今日のおかず、ウチの男どもにはどうだっただろう。本日の母のひと工夫なんか気にも留めずガツガツ食べてしもてるやろな。
 時々おかずが足りなくて、二人分しか作れなかったりすると、自分のはアトリエ付近で調達します。これもささやかな楽しみ。先日もお気に入りのお弁当屋さんに買いに行きました。
 笑顔のかわいいおばあさんがお店番です。お弁当を受け取る時「ありがとう」と言うつもりが、大きな声で「ごちそうさまでした」と言ってしまいました。後ろに並んでたOLさんにクスクス笑われ、ハズカシイ。
 恥ずかしいのを紛らわしたくて、顛末(てんまつ)を友人にメールで報告。返信は「お弁当見ただけで食べた気になるんやったら、安上りでええやん」でした。ほんまにネ。
【2007年11月29日掲載】