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坪倉由美の日々しましま

(6)私はここです〜
 先日コンビニで公共料金など数件の支払いをした時のこと。レジで対応してくださったのは、店長さんとおぼしき五十代の男性でした。
 支払いを受けて店長さん、領収書に領収印を押すためにしばし、うつむく状態に。調度その時、人の出入りでドアの開閉を知らせる音がピンポ〜ンと鳴りました。と、なぜか店長さん、上体を起こして「えらいこっちゃ!」とつぶやき、そばにいた女性の店員さんに「ちょっと、ここ頼むわ」と言いながら小走りで店を出て行かれたのです。手には私が受け取るハズの領収書を握りしめ。
 突然のことで訳が分からずたたずむ私。レジをバトンタッチされた店員さんは私に「いらっしゃいませ」と笑顔。「いえ、あの、今、支払って、領収書もらうの待ってるんですけど」。とっさのことで何も悪くないのにしどろもどろ。「は?」と店員さんも状況がつかめずレジを挟んで今度は二人でたたずみます。
 「困ったな」と外を見ると飛び出した店長さんが戻って来られました。と思いきや、今度はさっきと反対方向へダッシュ。ますます訳がわからぬ店員さんと私。少しして店長さんが荒い息をして今度こそ戻って来られました。私のことは眼中になく、店員さんに「領収書にハンコ押してる間にお客さん、帰ってしまわはったんや」と自分が飛び出して行った理由を説明してはります。
 なんで? 私はずっとここにいてますよ。そう申し出ました。店長さんはやっと私を認識され、平身低頭で、ちょっとクシャっとなった領収書を私に返してくれました。全然かまいません。私も似たようなことを得手としていますので。どうもお疲れさまでした。
【2007年12月13日掲載】