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坪倉由美の日々しましま

(7)タオルから顔が「こんにちは」
 美容室でシャンプーをしてもらうのは気持ちいいです。いい香りに包まれ、至福の時。でもちょっと困ることも。
 顔にかけていただくタオル、お話ししてるウチに動くのです。シャンプー中のおしゃべりは、シャワーから出るお湯の音に負けないよう大きな声を出さないといけないので、自然と口がよく動きます。
 それに伴い、タオルは顔面をはみ出さんばかりの位置に。美容師さんがさりげなく直してくますが、話すウチにまた顔の半分があらわになり、お湯がかかる事も。それなら黙ってれば? そんな思いしてまで、なんでしゃべるの? ごもっともです。
 でも若い方との話は楽しいのです。今晩のゴハンのコト、ひとときでも忘れさせてくれます。終了近くになると「どこかかゆいトコはございませか?」と聞いてもらいます。ないです。「背中」とか「お尻」とかベタなジョークは言いません。
 たまに「どこか汚れの落ちていないところはございませんか?」とも聞かれます。これはそちらの管轄でしょう。食ってかかるほどのことじゃないので「ハイ」と答えときます。
 シャンプー終えてイスが起こされると「お疲れさまでした」と言ってもらいます。いえ、全く。皮肉でもなんでもなく、お疲れになったのはそちらさまでしょう。そして鏡の前のイスに案内される道すがらもスタッフから「お疲れさまでした」を頂だいします。
 ほんまに私、座ってただけなんです。いくばくかの代金をお支払いするとはいえ、とても気を使っていただき、日々ぞんざいに過ごしておりますゆえ、こそばゆい思いです。
【2007年12月20日掲載】