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坪倉由美の日々しましま

(14)思わぬ恋バナ
 今日はバレンタインデー。甘く切ない思い出を書いてみたいのですが、無縁に過ごしてきました。
 唯一のエピソードと言えば学生時代、当日たまたま入った定食屋さんでのこと。おはしの横に銀紙でくるまれたハート型の小さなチョコレートが添えられました。お客さん全員に配られるのかと思ったのですが、一緒の女友だちの方には置かれず。「ああ、男性客に間違えられたンや」。友だちと顔を見合わせてクスクス。ありがたくちょうだいし、店を出るなりチョコをほうばりました。
 バレンタインのチョコレートで、私自身の想いは成就したことがありませんが、今までの生涯で一度だけ、期せずしてキューピッドになったことがあります。  奥田民生さんのコンサートのチケットを夫の分と二枚入手したら、夫も知らぬ間に二枚買っていました。「勝手な時だけ気ィ回すんやから」とブツブツ言いながらチケットの引き取り手を探すことに。当日になってやっと見つかった夫と私の友だちは偶然、独身の男性と女性でした。
 取れた席は列を前後にして二席ずつ。二人は初対面で気を使うだろうし、それぞれがそれぞれの友だち同士で隣の席に座るべきと思いました。しかし夫も私も「少しでも前で見たい」と、やや前列だった二枚の席を譲らなかったので、大人げなくも知らない男女を隣同士にしてしまいました。
 開演前、後ろめたい思いでそっと後列の席をうかがったら、思いのほかお似合いの二人が。一年後二人の教会での挙式に立会人の大役を仰せつかるとは知るよしもなく、コンサートでノリノリの夫と私でした。
【2008年2月14日掲載】