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インデックス

「葬儀編」

「頼める寺・僧侶あり」7割
葬祭会社による「家族葬」の説明会。最近は限られた参列者だけで小規模に行う葬儀へのニーズが高まっている(京都市西京区・洛王セレモニーらくさいホール)

 簡素化の要望が多い葬儀に、継承者の不安が残る墓―。京都新聞社が京滋の中高年394人から回答を得た「葬儀・墓」に関するアンケートからは、伝統的な「弔い」が揺れ動いている現状が見えてきた。結果を「葬儀編」と「墓編」に分けてまとめた。

「家族葬」に高い関心

 仏の弟子になった証しとして僧侶から授かる「戒名」(法名)は、受け止め方が大きく分かれた。「必要」が48%と約半数を占めた一方、「不要」が27%、「分からない」が21%だった。

 必要とした理由では、「伝統」「しきたりだから」がほとんどだった。生前に戒名を授かっている人も少なくなかった。逆に不要の理由では、金額への不満や戒名の意義に対する疑問がみられた。

 最近は、葬儀をせず直接火葬する「直葬」が注目されるように、葬儀を行わなくてもいいと考える人がいるのでは−。そんな予想から「自分の葬儀を行ってほしいか」と質問したところ、「はい」は74%だった。逆に「いいえ」と「分からない」が合わせて24%いた。葬儀をするのは当然と考えない人がいることが分かった。

 では、葬儀をしてほしい場合、希望のスタイルはあるのか。「ある」とした人のうち46%が、ごく親しい身内だけで行う「家族葬」と記入。「家族や友人たちで、花や音楽に囲まれて」(大津市の60代女性)と、自分なりのイメージを描く人もいた。

 そういった自身の葬儀の希望を周囲に「伝えた」人が34%。その方法を選択肢から選んでもらうと、最多は「普段の会話」で、「遺言書」「エンディングノート」はわずか。「重要な事項は書いて残しておきたい」(綾部市の60代男性)との感想もあった。

 檀家(だんか)制度や寺との付き合いはどうか。「葬儀を頼める寺(僧侶)はあるか」との質問では、「ある」が72%、「ない」が22%だった。「ある」を京都府だけで集計すると79%で、滋賀県の65%と比べても、檀家制度が比較的維持されている現状がうかがえた。

 葬儀のために準備していることを選択してもらったところ、費用が抜きんでて多く、連絡先一覧や会葬者リストが続いた。

 回答者の性別は、男性58%、女性41%、不明1%。年齢は60代が54%、70代30%、80代11%の順だった。

<回答者の声> 「高いお金かけたくない」

◇戒名(法名)は自分には必要ですか

 【はい】(188人)

 「代々続いているから」(南丹市・70代男)
 「俗名では極楽浄土に行けない」(京都市・70代女)
 「菩提寺(ぼだいじ)の檀信徒(だんしんと)として当然」(亀岡市・80代男)
 「自分の地位の象徴」(舞鶴市・80代男)
 「死後は戒名で呼んでほしい」(草津市・60代男)

 【いいえ】(107人)

 「高いお金を払いたくない」(京都市・60代女)
 「家族が戒名で呼んでくれることはない」(福知山市・60代女)
 「生きている時の名前でよい」(守山市・60代女)

 【分からない】(83人)

 「慣習の一方で、もっと自由でもいいのでは」(大津市・40代女)
 「亡夫の生前に一緒に受けた」(京都市・70代女)

 

◇葬儀に対する意見や不安は=自由回答から

 「見えや親戚に縛られ、誰のためのものか分からなくなっている」(亀岡市・60代男)
 「独り暮らしで家族がいない。誰が葬儀を行ってくれるのか不安」(大津市・60代女)
 「戒名代、葬儀代が高すぎる」(守山市・60代男)
 「業者や宗教者のビジネスに協力したくない」(城陽市・60代女)
 「お坊さんのお布施がとても高いように思う」(大津市・60代女)
 「意義を考えると、お金をかけずに簡単に済ませることではないのでは」(京都市・40未満女)
 「病院から斎場へというパターンはダメ。一度は家で枕経をしてもらうべき」(甲賀市・70代男)
 「自分は要らないと思っているが、子どもたちがどうしてもと言うなら簡素に」(京都市・60代女)

本来、故人をしのぶ場

全日本葬祭業協同組合連合会 松井昭憲会長

 「家族葬」は確かに増えている。高齢化と人間関係の希薄化が進んだ結果で、近所にも知らせず内輪だけで行う葬儀が多くなった。葬儀は本来、故人に関係のあった人たちが集まり、故人をしのぶ場のはず。このままでは儀礼文化が廃れてしまう。死に対する子供たちの畏敬の念もなくなるのではないか。

 葬儀費用が高いと言われることもあるが、バブル崩壊後、葬儀そのものの価格は大きく下がっているのが実情だ。かつて立派な葬儀は子孫の繁栄を願うものという考えもあったが、不況下では立派な葬儀を出したくも出せない。私の考えだが、香典を主体とする相互扶助を考え直してもいいのではないか。

 ただ、実際の葬儀では祭壇やひつぎ以外にも花代や料理代などが加わるので、葬儀費用が高いと感じる人も多い。各葬祭ホールの事前相談会などにぜひ足を運んでほしい。希望を伝えて見積もりを取るのはもちろん、大切な人を亡くした悲しみをどう扱うかなどはスタッフと話して見極めてほしい。

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【2011年1月21日掲載】