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「クオレ」はイタリア語で「心」の意味。京都生協が会員向けに葬儀や仏事の相談に応じる「クオレ案内センター」(京都市中京区)
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家具調の仏壇や手元供養の見本などがずらりと並ぶ「クオレ案内センター」。京都市中京区、JR二条駅近くにある弔い関連のショールームのようなフロアは、京都生協が組合員の葬儀の相談に応じる拠点だ。
セールスポイントは葬儀登録制度「クオレの会」。葬儀会社4社と提携していて、パンフレットをもとに会員にあらかじめプランをつくってもらう。葬儀の費用、場所、スタイル、規模…。死去した場合、担当者が葬儀会社に連絡し、生前の希望に添って執り行われるようサポートする。
2004年に始め、会員数は現在約8100人。京都生協がこれまで受け付けた葬儀約3800件のうち、3分の1強の約1400件を占める。マネジャーの武分裕さんは「生前に登録することで、自分の葬儀に自然に向き合える。窓口一本で不安をサポートしたい」と話す。
不安、不慣れに対応 安価で僧侶派遣も
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NPO法人SOLが監修した葬儀。祭壇は彩り豊かな花で埋め尽くされた(河島夏大さん提供) |
身内の死去に直面し、葬儀の段取りに戸惑った経験を持つ人は多い。そこで、葬儀会社との「橋渡し」になって、納得のいく葬儀ができるよう支える動きが広がっている。
大津市のNPO法人「SOL(ソル)」は「きずな葬」と題して、葬儀の企画や監修を活動に掲げる。
「花いっぱいの祭壇にしてほしい。お金はいくらかかっても構わない」−。昨夏、代表の河島夏大さん(33)が初めて葬儀企画を依頼された際は、家族に代わって生花店と交渉し、彩り豊かな花で埋め尽くした祭壇を実現した。遺族からは「芸能人のお葬式のようだった」と感謝された。
河島さんは会社員を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資金計画の相談だけでなく「人生のフィナーレ」の手伝いをしたいと思うように。昨年は市民向けに「老い支度講座」を開いたほか、生演奏付きの葬儀や散骨も提案する。
「故人にとっても自分らしく、満足して旅立てるのが一番」と考える。
SOLのスタッフの一人、稲垣忠さん(64)=大津市=は、エンディングノートの推奨や仏事の相談などシニアライフを支援する「涅槃(ねはん)房ハピネ倶楽部(くらぶ)」を主宰。サービスの柱の一つが「僧侶の派遣」だ。
故郷を離れて都市部で暮らす次男や三男は檀那(だんな)寺との縁が薄れ、仏事も不慣れだ。「特定の寺の檀家にはなりたくないが、葬儀は僧侶に頼みたい、というニーズに応えたい」と稲垣さんは話す。
入会金は5千円。葬儀や法要に僧侶を派遣するのは京都駅から50キロ圏内で、「お布施」を安価に設定し、明示している。
浄土真宗本願寺派僧侶の本多弘願さん(67)は同倶楽部専属で、これまで5件の葬儀を請け負った。「『デパート』のような寺から、われわれのような『コンビニ』まで、さまざまなニーズに対応した僧侶がいてもいい」
京都市右京区のNPO法人「自分で考えるラストセレモニーの会」も2年前、葬儀に僧侶を派遣する「おぼんさん119」サービスを始めた。
理事長の稲垣妙順さんは浄土宗の住職。かつて「お金がなくて葬儀も出せなかった」と死後何年も悔やみ続ける遺族に出会ったことがきっかけだ。知り合いの僧侶とも連携し、4宗派に対応する。
「故人をきちんと弔うために必要な僧侶を派遣することは、遺族のグリーフケアにもつながると思う」
【連絡先】
京都生協クオレ案内センター(京都市中京区)TEL0120(402)900=午前9時〜午後6時▽NPO法人「SOL」(大津市)TEL077(521)3455▽涅槃房ハピネ倶楽部(大津市)TEL090(1904)8883▽NPO法人「自分で考えるラストセレモニーの会」(右京区)TEL075(462)4850
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