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「読者の声」

故人と近い人が 後悔しない供養
先祖から墓を受け継いだところで、どう守っていくのか。子孫に託すのは難しくなるのではないか。墓の継承に関して不安の声が多数寄せられた(写真は亀岡市の篠共同墓地)
 1月から2部にわたって連載した「弔い模様」に対し、たくさんの感想が寄せられました。少子高齢化や経済的な問題で昔ながらの「弔い」を支えきれない今、自らの人生の幕引きを真剣に考える人や、寺との付き合いに悩む人など、思いはそれぞれ。届いた声の一部を紹介します。

人間関係 高額な布施で「葬式貧乏」実感

 葬儀や墓は、親類や菩提(ぼだい)寺との関係を浮き彫りにする。仲たがいのきっかけとなってしまった例もあった。

 京都市右京区の女性(43)の場合、夫の葬儀や納骨について「好きにして」と言っていたはずの義母に一々猛反発され、「文句ばかり言われて…」と閉口した様子だ。上京区の女性は「実母を永代供養にしようと思ったが、周囲から『墓を建てるべき』と言われて身動きがとれない」と漏らす。

 ある僧侶は「仏事は親任せで先祖の墓参りにも来ない若者が多く、無知な檀家(だんか)も多い」と憤りを寄せた一方、葬儀を機に寺への不満を募らせる檀家もいる。宇治市の女性(62)は、葬儀や法要のたびに高額の布施を求められ、「『葬式貧乏』を実感している」。左京区の女性(69)は「位牌(いはい)の戒名の字が間違っていたのに電話一本で済まされ、無責任さに驚いた」と嘆く。

慣習 家族葬浸透すれば負担軽減

 昔からの伝統をどこまで守るべきか。自宅から葬祭場へと葬儀の場の変容を取り上げた回(3月4日)では、京丹後市の女性(57)から率直な声が届いた。「自宅葬を手伝う時は仕事を2日も休まなければならず、他人の家で一緒に料理を作るのもしんどかった」。絆のあり方も時代とともに変わり、気持ちさえあれば−と前向きにとらえる。

 家族葬を扱った回(3月25日)には、「社会全体の絆を失い、肉親や社会に対する自覚を失う結果になるのでは」との意見の一方、右京区の女性(43)は「家族葬が浸透すれば、葬儀の時まで接待に追われるようなことも軽減されるのでは」と寄せた。女性は、父親が亡くなった際にゆっくりお別れできなかったことで、今も心の整理がつかないという。

 「戒名(法名)」についても多様な声が寄せられた。「身内の死後、戒名を言える人が何人いるのか」と懐疑的な声や「親がつけてくれた名前がいい」という声があった一方、北区の僧侶は「戒名とは、仏弟子になる証しとしての名前。無宗教なのに戒名はおかしい」と指摘する。山科区の山本泰三さん(71)のように「過去や心境をにじませた法名を自ら考えてみたい」との心境になった人も。

墓の継承 息子に負担、と迷いも

 先祖代々の墓がある人もない人も悩んでいる。墓を今後どう維持すればよいのか、感想や意見だけでなく相談も寄せられた。

 北区の女性(75)は「墓地を用意したものの、長男は定年まで転勤する職業。墓に入れば息子に負担をかけるかも」と迷いを見せる。民間墓地の担当者からは「親も子に墓守をさせない。子も自分のことで精いっぱい。代々の墓から一代限りの墓に変わりつつある」とのメールが届いた。夫婦で別々の墓を購入する人もいるという。

 自分なりの方法を考え、周囲に伝えている人もいる。5年前に静岡県から大津市に移住した金村武夫さん(77)は、大津に墓を購入。死後の墓守は長男が担う予定だが、長男が墓を守れなくなった時は遺骨を永代供養し、墓地も返却するよう話している。「孫の代まで墓を守ることを義務づける必要はないと僕は思います」

 さまざまな立場から意見が届くなか、夫や自分の両親など現在三つの墓を守っているという山科区の女性(52)は、何人もの家族を見送った経験から思いをつづった。「故人と一番近しい人が後悔しないやり方で供養すればよいと思います」

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【2011年4月29日掲載】