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つじあやの KYOTO GIRLの散歩道

(2)お寺って見るだけじゃない
イラスト・ナカムラユキ
 先月、知恩院の御影(みえい)堂で「京の華舞台」というイベントがあり、狂言師の茂山正邦さんとコラボレーションしました。正邦さんが舞い、私が歌うという希有(けう)なステージに、御影堂の荘厳な静けさがとけ合う、美しい秋の夜。本当に「京都らしい」舞台でした。
 京都はお寺が多く、その有名な文化財を見に訪れる観光客も多い。でもそれだけで「京都らしさ」が出来上がってるんじゃないと思う。歴史ある知恩院で、狂言とポップスのコラボレーションが行われるという、懐の深さに私は「京都らしさ」を感じるんです。
 法然院をご存じでしょうか? ここはお寺だけどアーティストの発表やシンポジウムが行われていたりする。学生の頃(ころ)、面白そうなイベントを聞きつけては自転車で出掛けてった。「お寺って、見るだけじゃなくて、おもしろいんや!」
 そんな縁もあり4年前、お庭で西岡恭三さんの「プカプカ」を歌わせて頂きました。う〜ん、住職の梶田さんって、ROCKなお坊さん!
 格式ある伝統や教えがしっかりあるのに、庶民や異文化とのさまざまな交流をやってのける。ここが京都のかっこよさ。だから色褪(あ)せずに今でも新鮮なんやろうな。
 あともう一つ、とっても大切なこと。
 散歩中、ふと百万遍の知恩寺に立ち寄った。「手作り市」はやってなかったけど、保育園の子ども達や車いすで散歩するお年寄りに出会った。石碑にわらわらと登る園児に「降りなさーい!」と怒る先生の声。白髪を優しくなぜる風。チュンチュンと雀(すずめ)たち。この小さな交流に私は癒やされ、感動した。
 「受け継がれるって、こういことか!」。癒やしの心が京都の文化を支えてきたんやなあ。
2008年11月17日掲載