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(10)アーティストグループ Antenna

ウツ世ノ祝宴 日本という場から発信
「来世ノ門」(手前)の向こうに、あの世が待っている? 「ウツ世ノ祝宴」展の会場風景(さいたま市「プラザノース」)

 最近、各地で開催されるアートプロジェクトの会場でひときわ目立つ、赤い鼻に大きな耳の着ぐるみ。みこしも繰り出し、一風変わった祭りも出現。京都市立芸術大出身のグループ「Antenna(アンテナ)」はこの夏から今月にかけ埼玉、香川、京都、山梨、滋賀とフル回転。作品だけでなく、アートイベントの企画でも注目されている。

 結成時からのメンバーである田中英行(1981年〜)と、市村恵介(79年〜)、古川きくみ(84年〜)の3人。「ジャンルを総合する芸術を」と2002年、映像作品を制作するために仲間が集まったのがきっかけで結成、その後メンバーは変せんを遂げた。

 「西洋のアートの流れに接合するよりも、日本という場から発信すべき」との路線を掲げるが、それは2004年の2作目の映像「囿圜(ゆうえん)」で確立した。架空の土地「ヤマトピア」で繰り広げられる時代劇とSFが合体した風のドラマは、伝統から切り離された現代日本の戯画だ。着ぐるみ「ジャッピー」は「ヤマトピア」のマスコットとして考案された。鼻は梅干し、腹は富士山と、消費される日本文化への皮肉を込める。

 ただ、変化したのはメッセージの伝え方だ。「作者の世界観を一方的に見せるだけでは受け容れられない」と、会場の特性から作品づくりを考え、「場」への介入に目を向ける。先月までさいたまで開かれた個展「ウツ世ノ祝宴(しゅうえん)」では「幸せプロジェクト」と称し、来場者に「幸せとは?」と問いかけ、答えてもらった紙を壁一面に張った。「多くの視線を導入し、一見ありふれたものの中にある多様さを引き出したい」。

 「ウツ世ノ祝宴」では、「祝宴」は「終焉(しゅうえん)」という逆説のもと、白木を組んだ門の表側に祝儀の装飾、裏側は「死」を象徴した物品が並ぶ「来世ノ門」をくぐり、会場をめぐる構成。あり合わせの日用品を転用するブリコラージュの手法による作品で、21世紀になお息づく日本文化の基層をかいま見せる。

 先月、京都の既存のギャラリーやアートショップを結びつけ、芸術祭の空間を現出させるイベント「京都藝術(げいじゅつ)」を企画した。それは京都に数多い美術の制作や展示販売の場をそのまま芸術祭に見立てるブリコラージュ型の芸術祭だ。「京都のアートシーンを盛り上げることは、作品づくりと同じ問題意識」。点在するアートを線、面に変えていく、注目すべき動きをもつくり出している。

アーティストグループ Antenna

写真上:ジャッピー
写真下:Antenna(右から古川きくみ、田中英行、市村恵介)撮影=表恒匡・画像提供=&ART

【2010年9月4日掲載】