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インデックス

(48)片言 子どもの言葉の力

作 品

・ひなまつり三色ゼリーでおいわいだ
京都市・明徳小3年 西村 英恵(はなえ)

・芽がさいた春が近いしるしだよ
京都市・明徳小4年 山岸 千乃(ゆきの)

・6年生5年生にバトンパス
京都市・明徳小4年 山岸 晃

ねんてん先生

 今回は、明徳小学校3人組の登場です。

 西村さんの句、「三色ゼリー」にはっとしました。菱餅(ひしもち)にかえて三色ゼリーを飾ったのでしょうか。いかにも現代のひなまつり、という感じです。

 山岸千乃さん。「芽がさいた」という言い方、これがおもしろいです。普通は芽が出る、あるいは芽がふくらむというのですが、芽のようすが花のようだったので「さいた」と言ったのですね。大人の言い方に従うと、「さいた」は誤用、すなわちまちがった言い方です。片言(かたこと)と言ってもよいでしょう。でも、この句の場合、「芽がさいた」という片言が芽のようすを生き生きと伝えます。

 「芽がさいた」というような言い方に出会ったとき、私たち(ことに大人)は試されます。「そんな言い方まちがいだよ」という人と、「わっ、おもしろい」と喜ぶ人に分かれます。私は片言こそが子どもの言葉の力だと考えています。もちろん、大人になると片言的な表現が乏しくなります。西村さんの「三色ゼリー」も一種の片言です。

 山岸晃さんのバトンパス、これは今の時期の学校の風景ですね。(俳人・坪内稔典)

【2010年3月6日掲載】
小学生の俳句を募っています。作品3点までと住所、氏名、学校名、学年、電話番号を明記し、はがきは〒604−8577京都新聞文化報道部「ねんてん先生の575」係。メールは575haiku@mb.kyoto−np.co.jp