京都新聞TOP > 文化・文芸・教育アーカイブ >銀縁メガネコの風景探訪
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(1) はじめまして

人間と一匹?の珍問答を紹介
絵・小山田徹
 私は眼鏡をかけた猫である。きらりと渋く光る銀縁眼鏡である。我(わ)が相棒のコヤマダ氏からは銀猫と呼ばれている。皮肉屋である。もちろん眼鏡をかけた猫など存在するわけもなく、残念ながら私は実存していない。相棒の妄想である。
 しかし、コヤマダ氏には中学1年生で初めて眼鏡をかけて以来、常に見えているらしく、ある意味、私は存在していると言っても良いのである。まあ、あまり細かいことは考えずにしばらくお付き合い願いたい。
 コヤマダ氏は涙腺も緩み始めた中年の感動屋である。髪の毛も後退してきている。私との付き合いも34年になる。氏いわく「時々大工、時々建築家、時々美術家、時々洞窟(どうくつ)探検家です」
 ムハー、訳が解(わか)らん。毎回イライラするなーこの曖昧(あいまい)さ。だから美術家ってめんどくさいねん。特に洞窟探検家って、別に言わんでもいいやんか? 「自分の妄想のおまえに言われたくない」
 ハー?おまえの曖昧さと私の存在の不安定さはどっこいじゃ…。
 今回のシリーズは、この感動屋の相棒、コヤマダ氏と、皮肉屋の私、銀猫の珍問答集である。日常のさまざまな風景を巡りながら、あーでもないこーでもないと、深読みをすることになる。文章の主導権は私、銀猫が握っているのだ。請うご期待。

こやまだ・とおるさん
 美術家。1961年鹿児島県出身。京都市立芸術大日本画科卒業。
パフォーマンスグループ「ダムタイプ」の舞台美術や企画構成に携わったほか、共有空間の開発としてカフェ運営なども手がけている。
第2回アサヒビール芸術賞受賞。京都市在住。

【2008年4月7日掲載】