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(5)夕焼け

無為に過ごす日々 反省するかしないか
絵・小山田徹
 サングラスはかけない主義の銀猫です。
 わが相棒のコヤマダ氏は夕焼けを眺めるのが大のお気に入り。最近、つとに日が長くなり、コヤマダ氏は相変わらず仕事もせずに、毎夕方、河原でボーッとしている。
 「銀猫君、早く夕方にならないかね。ちょこっと早く来すぎたかな? あー、今日の夕焼けも楽しみだー」
 あのね、相棒よ、一言いいかい? この時間に河原でのんびりしている40代の男性は不審に思われてることを分かっているかい?
 「まあね、毎回銀猫君に言われるからさ、いろいろ考えたけどさ、やっぱり夕焼けは見といた方がいいよね」
 ムー、全く理解してないね! しかも理屈が分からん。
 「あのさ、銀猫君。日の出と日没の差って何かわかる? むふふ」
 また、はぐらかす…。
 「どちらもさ、その時、知らない人に『美しいですね』と聞くと必ず『はいー』って答えてくれるのは同じ。でもね、日の出はこれからのことしか考えないけどさ、日没は今日一日のことや過去のことがウワーと混ざった感じを考えちゃうな」
 ムー、分からんでもないかな。黄昏(たそがれ)だし。
 「夕焼けから暗くなるまでの間、さまざまに雲の形や色がゆっくり変化して星やお月様が光り始めるのを見ているとさ、今日1日をボーッと無為にすごしてしまった自分を、猛烈に反省するのよね。明日はしっかりしようってね。銀猫君はそうゆうことってないの?」
 相棒よ、私は猫だ。無為の天才の猫だからないのだよ。
 浮世雲無為の黄昏五月猫

【2008年5月12日掲載】