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(9)昼食の風景

おしゃべりが仕事の源泉
絵・小山田徹
 料理は意外に上手な銀猫です。
 「おーい、昼飯出来たよー」とコヤマダ氏の声。
 ここは、東福寺駅近くにあるコヤマダ氏が参加する共同アトリエ。相棒は、7人の友人たちとこの仕事場を共有している。建築や家具製作、デザインなどをやっている人々である。このアトリエの特徴は、可能な限り毎日昼食を作ってメンバー全員で食べることである。ほとんどの場合、パスタである。
 「その日に何となく時間があったり、作りたい気分のメンバーが料理を担当するんだよ。もう、レパートリーは数えきれないぐらいだよね。おいしくて安いしね」
 まー、確かにおいしいけどね。
 「一緒に食事しながらね、その時それぞれがやっている仕事の相談や意見交換をしたり、身の上相談や映画や政治の話したり、けっこうお互いにしゃべっているのよね。その中から次のアイデアが生まれたりして便利なのよ。あっ、銀猫君、コーヒー飲む?」
 はい、はい、いただきますよ。それにしてもずーっとおしゃべりしてるけどさ、みんな大丈夫なの? 今日はほとんど仕事してないような気がするけど…。
 「ついつい話が長くなるんだよね、無駄話。お客さんが来ると、もっと長いしね」
 大丈夫なのかな、このアトリエ。
 「意外と、このゆっくりな感じがお客さんには人気なのよね。はい、ケーキ」
 うーむ、猫並みの緩さだね。ごちそうさま。

【2008年6月9日掲載】