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(10)洞窟その1

真っ暗闇に入って何が楽しい
絵・小山田徹
 夜目の良く利く銀猫です。暗い所といえばわが相棒のコヤマダ氏はここ数年、洞窟(どうくつ)探検に凝っていて、あししげく仲間と洞窟に通っている。一体何が楽しいのやら。
 「銀猫君、洞窟と言ってもね、いろんな種類があってさ、僕達のチームの専門は鍾乳洞なのよね」
 いつになく饒(じょう)舌だね。それで?
 「おっ、洞窟の話、聞いてくれるの? うれしいねー。えー、鍾乳洞というのは主に石灰岩の大地が雨水や地下水に溶かされたり、削られたりしてできる洞窟なのよね。いまだに水が流れていてさ、行くと泥だらけ、びしょびしょになったりするのよね」
 なんでわざわざそんな所に行くのかね。
 「銀猫君ね、例えが難しいのだけどね、ものすごい時間旅行に行ってるみたいなのよ」
 タイムトラベル? 「そう、僕たちが行っている鍾乳洞の石灰岩は、2億5000万年前に南の海でできたサンゴや貝などの生物の殻が原料なのよね。それが何億年もかけて日本列島まで移動して、現在の場所に落ち着いてから洞窟ができているのよ。つまりね、化石の中に入り込んで探検してるみたいなことなのよね。鍾乳石のつららが1センチ成長するのに約200年。ね、膨大な時間の森に分け入るみたいでワクワクするのだよ」
 ウーム、すごいのは何となく分かるが、ちょっと怖そう。
 「そう、真っ暗闇と迷路。マックロクロスケ…」
 えー残念ながら時間切れ。続きは来週に。

【2008年6月16日掲載】