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石の魔力に道惑わされ

(20)山登り
絵・小山田徹
 メタボでも、山登りが趣味の銀猫です。
 相棒のコヤマダ氏も洞窟(どうくつ)探検と山登りが趣味である。
 「銀猫君、ケルンて知ってる?」
 山とかで石を積み上げたやつだよね。
 「そう、石積みの道標。あのさ、なぜ人は石を積み上げるのが好きなのかな?」
 相棒よ、相変わらず唐突な質問だね。そー言えば、古代遺跡や賽(さい)の河原、子供の遊びなどたくさん共通の形があるね。どうしてだろう?
 「ちょっと調べたんだけどね、昔、人が死んだら、その人の上に石を積み上げて、魔を封じ込めてたらしいのよね。そして魂を空に打ち上げるために高く積み上げたり、巨石の柱を立てたてたりしたらしいのよ。なんとなく気分がわかるよね」
 ほかにもいろんな理由があるんだろうけどね。まー、石には不変の力がありそうだね。
 「前に、スウェーデンの山に登った時に、山頂直前で天候が急変、猛吹雪になって撤退したのよね。登りと別ルートで帰ろうとしてがけの降り口まで来たら、目印のケルンがわからないのよね。なぜかと言うと、登山者が記念に石積みをして百個くらいのケルンが並んでいるのよ。吹雪で視界がないし、目印がわからない。それで、勘で降りたら、雪斜面で身動きが取れず滑落。奇跡的に助かったけどヒヤヒヤしたなー」
 オイオイ、それはケルンのせいより、あんたの準備不足が問題!
 「ウン、反省してるよ。でもね、山ではいくら魅力的でも石積みはほどほどにね」

【2008年9月1日掲載】