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リラックスして気分も壮大に

(21)「床屋政談」
絵・小山田徹
 寝癖が付くと一日中憂うつな銀猫です。
 相棒のコヤマダ氏は大学以来ずーっとクリクリの丸刈りである。定期的に同じ理髪店に通っている。
 「銀猫君、理髪店って行くと気持ちいいよねー。オレ、丸刈りだから座るだけで何も悩まなくていいし、すごくすっきりするのよね」
 まー、単純な髪形だからね。
 「それに時々、お任せします的に、人に体を預けるのが思いのほか気持ちいいのよね。リラックスするね」
 うん、信頼して身をまかせる。オレも毛をなでられるの大好き!
 「まー、それ以外に理髪店の楽しみがあるんだけどね」
 何?
 「あのね、おしゃべり…」
 男のおしゃべり?
 「そう、毎回いろんな話題をしゃべるのがけっこう楽しいのよね。頭触られながら、ご近所の話や自分の仕事の話、政治経済の話、芸能ニュース、健康の話題、野球、競馬、ボクシング、オリンピックなど、さまざまな話題をするよね」
 そんなにしゃべるの?
 「落語でも『床屋政談』という言葉があるようにね、けっこう壮大な話や世直しの話になったりするのよね。自分が政治家になったみたいにね。それに理髪店主は、話し上手な人が多いよね、話し上手になるのかもしれないけど…。ご近所の情報がけっこう集まって来るんじゃないかな?」
 うふふ、オレが刑事ならまず理髪店に行って情報収集だね。
 「こないだ、銀猫君の話してたけどね…」

【2008年9月8日掲載】