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琵琶湖湖底の低酸素化

地球温暖化も要因に
今津沖定点(湖底から1m)での溶存酸素濃度の年度最低値
 Q 琵琶湖の北湖で、湖底の溶存酸素濃度が十月下旬に観測史上、最低水準だったそうですが。
 A 滋賀県琵琶湖環境科学研究センターによると、今津沖の水深約九〇メートル地点で一リットル当たり〇・三ミリグラムでした。一九七九年度から調査している別の地点でも二〇〇二年に〇・九ミリグラムを記録しており低酸素化が懸念されています。
 Q 湖底の低酸素化はなぜ起こるのですか。
 A 一因は富栄養化です。植物プランクトンは死ぬと沈み、バクテリアによって分解されますが、その際に酸素を消費します。富栄養化で植物プランクトンが増殖すれば、酸素の消費も増える。でも琵琶湖では今、富栄養化は食い止められているので、地球温暖化も低酸素化の大きな要因と指摘されています。
 Q 地球温暖化が湖底の低酸素化にどうつながるのでしょう。
 A 北湖の水の循環は季節によって異なります。春から初冬にかけては水温が急に変わる層ができ、上下の水はほとんど混じり合わない。この間、湖底では低酸素化が進みます。冬になると、冷えて比重が高く、酸素をたくさん含む表層の水や雪解け水が湖底に潜り込んで対流する「全循環」が起きます。温暖化で冬場が暖かくなると全循環が起きにくくなり、湖底に酸素が届けられなくなってしまうわけです。
 Q 今年もそうだったのですか。
 A 暖冬で全循環の始まりが例年よりひと月遅い三月にずれ込んで半月も続かず、湖底の酸素濃度が十分に回復しなかったのです。
 Q 水草の異常繁殖も関係がありますか。
 A 北湖では影響はそう大きくない。ただ水深が浅い南湖では、県立琵琶湖博物館の調査によると、水草が茂る夏に湖底が低酸素状態に陥ります。水が混ざりにくくなり、光が届かない部分では水草が光合成せず呼吸だけをするうえ、バクテリアも有機物を分解するせいらしいです。
 Q 生態系に影響はみられますか。
 A 低酸素下で発生する硫化水素をエネルギー源とする菌が湖底で発見されています。チオプローカという糸状の細菌で、すでに広範囲で見られるそうです。
 Q 低酸素化は水質にどんな影響を及ぼすのでしょう。
 A 湖底のリンなどが水中に溶け出し、アオコなど植物プランクトンの大発生につながる恐れがあります。北湖の湖底ではリンやマンガンの溶出が確認され、これに伴ってマンガンを酸化し粒子化するメタロゲニウムという物質も出現しています。
 Q 低酸素化への対策はありますか。
 A 地球温暖化や富栄養化を食い止める努力が求められるのはもちろんですが、琵琶湖では今、県や同志社大などが湖底に水の電解装置を沈め、取り出した酸素を湖底に送って低酸素化を解消する実験を続けており、注目を集めています。

【2007年11月15日掲載】