京都新聞TOP > 文化・文芸・教育アーカイブ > 知ってナットク
インデックス

東シナ海ガス田問題

日中の主権からみ複雑に
ガス田周辺の東シナ海断面イメージ

 日中が対立してきた東シナ海のガス田開発問題。福田康夫首相と中国の胡錦濤国家主席は7日の首脳会談で解決に向け進展があったと強調した。しかし、現在のところ、両国とも「進展」の具体的な中身を明らかにしていない。日中の排他的経済水域が交わるなど、複雑なガス田の位置に日中の主権がからみ、問題は複雑な様相を呈している。

 高校生 問題のガス田はどこにあるの?
 講師 日本側が日中双方の海岸から等距離にある「日中中間線」と位置付ける東シナ海の海域に六つのガス田が確認されている。このうち「白樺」(中国名・春暁)はガス資源が中間線をまたぎ、地下で日本側にも広がっている可能性がある。このため中国が日本側の資源まで採掘する恐れも指摘されている。
 高校生 中国の開発はルール違反なの?
 講師 東シナ海には中国大陸からつながる大陸棚が広がっており、中国は大陸棚の切れ目に当たる「沖縄トラフ」までが自国の海洋権益と主張している。白樺などのガス田は日本側が主張する「日中中間線」より中国寄りのため、中国は問題ないとしている。
 一方、ガス田は日本からも自国の海洋権益を主張できる排他的経済水域(EEZ)である二百カイリ以内の位置にある。東シナ海では日中のEEZ境界線が交わるため、日本政府は「日中中間線」をEEZの境界にするよう主張してきた。でも、中国はこの考えを認めていない。
 高校生 日中はどんな協議をしてきたの?
 講師 中国が春暁の採掘施設建設に着手しているのが発覚した二〇〇四年六月、日本政府は日中外相会談で懸念を表明、中国はEEZの問題を棚上げしてガス田を日中共同で開発することを提案した。日中は局長級協議を重ね、〇六年十月や〇七年一月の首脳会談で共同開発方式を確認した。
 高校生 それで問題は解決しなかったの?
 講師 〇七年四月の首脳会談では、同年秋に共同開発の具体策をまとめる方針で双方が一致したけれど、どの海域で共同開発するかをめぐって意見が対立し、話し合いはまとまらなかった。
 高校生 ガス田は現在どうなっているの?
 講師 両国が協議をしている間にも、中国は春暁の単独開発に着手、〇六年にはほかのガス田で生産を開始した。一方、日本は経済産業省が〇五年七月、帝国石油に現場海域での試掘権の設定を認めるなど、日中は互いにけん制してきた。
 今回の首脳会談で進展があったとされているけど、具体的な内容は公表されていない。両国の主権が対立した問題がどのような形で決着するか注目されている。

【2008年5月19日掲載】