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穏やかな日々

【質問】クラスの男子が毎日ケンカします。仲良く卒業したいのに…。

私のクラスに、毎日ケンカをする2人の男子がいます。
もうすぐ卒業なのに、ケンカは終わりません。
窓を開けるか開けないかなど、とても些細な事からケンカは始まります。
クラスのみんなが止めても、先生が注意しても、効果はゼロです。
卒業式の日が迫っているので、みんなで仲良く笑って卒業したいです!
どうすれば穏やかな日々が送れるのでしょうか?
教えてください!

小学6年 12歳 女子

ハラダの答え

 ある種の微笑ましさを感じながら、今回の悩みを読ませてもらった。

 「毎日ケンカをする2人の男子」。きみにとっては、野蛮で理解不能な、空気を読めない2人なんだろうな。自分が小学校生だった頃を思い出すと、ちょっと赤面するくらい、女子よりずっと幼稚だった気がする。もちろん、「男子の方が女子より精神年齢が低い」なんて決めつけるのは偏見だし、間違いだ。2人のケンカの馬鹿馬鹿しさに気がついている冷静な男子も、クラスにきっといると思う。でも、まあやっぱり小学校の時期の「女子から見た男子」は、「やれやれ」って気持ちになるくらい、まだまだ幼く見えるかも知れない。

 2人はきっと、ケンカしながら色々なことを確かめ合っている。仲良くやっているつもり、あるいはどんどん仲良くなってきている時期なのかも知れない。みんなが迷惑そうにしていることにも、ちょっと喜んでいる。クラスの注目を集めて、中心にいる気分を楽しんでいる。

 「女子ってすぐイライラするよな」って、「男子から見た女子」に対する偏見に満ちたことを言うかも知れない。

 2人のケンカについて、僕の意見は「もう少しだけ見守ってやって」だ。母親みたいな気分で、ちょっと2人に付き合ってやって欲しいのだ。きみが望んでいる「穏やかな日々」とかけ離れているかも知れないけれど、2人にとっては友情を育んでいる大切な時間かも知れないから。「やかましかった、けれど穏やかな日々だった」と思ってはくれないかな。きみには迷惑をかけるね、父親気分で僕から代わりに「ごめん」と伝えたいくらいだ。

 きみの悩みを微笑ましく感じたのは、2人が「ケンカ」していると書かれていたからだ。もし、「毎日『いじめ』が行われている」という悩みなら、笑ってなんかいられない。話は全然変わってくるからね。

 「ケンカ」は対等の関係の上に成り立つものだと僕は思う。大人になると、なかなかケンカすることは難しい。それぞれの立場があり、それに伴う利害があり、周囲の目を気にするようにもなる。そして、本心を隠し、お互いのことを知る機会を逃してしまう。 ケンカはもちろん褒められたものではないけれど、恥ずかしいくらいむき出しにした自分自身を相手にぶつける経験は、とても大切なものだと思う。その繰り返しの中で相手を知り、傷つける怖さを知り、優しさを学び、自分を知っていくからだ。ぶつかり合うことでしか解決できないこともある。そして、ひと時の混乱がやがて奇跡のように素敵な結末を生む、そんな未来がこの先、きみたちに訪れるかも知れない。その時のための準備運動のようなものとして、2人のケンカを多めに見てやってはくれないか。

 とは言うものの、2人がもう少し、周囲のことを考えてくれると助かるのだけれど、無理かな。不器用な2人に必要な時間だと思って、もう少しだけ待ってあげて欲しいな。

「穏やかな日々」 作詞作曲:原田博行

歌詞

photo by かつらかづみ

その怒り飲み込んだのは誰のため
本当の気持ち隠したのは何のため
「仲良くやる」と嘘をつくのは違う

事なかれ主義決め込んでもそれはダメ
独裁者のさばらせるのはもっとダメ
「自由である」と無責任とは違う

声を上げて殴られても
君を守るその勇気は
無くさないでいよう
愛のもとに集まるなら
ひと時の混乱を抜け
勝ち取れるだろう
穏やかな日々を
穏やかな日々を




◇       ◇       ◇

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【2018年3月22日】